ゆるがく

橘小春

寒い日の話

透き通るような青い空、そして真っ白で綿菓子みたいに美味しそうな白い雲、今日はとても良い天気だ。

「そんなことより寒すぎじゃない?」

そう寒い。寒すぎる。昨日までかなり暖かい気候だったのに急に寒くなった。

それはもうあり得ないほどに。

「お前、誰に話しかけてんの?」

健がそう言う。隣に健しかいないのだから彼に話しかけているに決まってるのに。

「健以外に誰がいるの?独り言だとでも思った〜??」

「いや、急に喋り出したから俺には見えない何かと話してるのかと思った」

「そんなわけないでしょ!まぁ急に喋り出したのは本当だけど…ねぇそれより寒すぎない?」

「それな、急に寒すぎて死にそう」

「だよね〜!」

「俺まだ衣替えとかしてないんだけど、まじ死にそう」

「さっきからずっと死にそうでウケる」

「ウケてないで助けろよ」

「え〜」

健がどうなろうがどうでもいいが、私も寒すぎてやってられない。どうしようか。

「そうだ!翔ちゃんにセーター借りよ〜!翔ちゃんなら

きっともうセーターとか持ってるはず!!」

「借りるってか奪うんだろお前」

「そうとも言う」

「俺も斎藤からなんか借りようかな、ブレザーとか持ってないかなあいつ」

「きっと持ってる持ってる〜!」

「じゃ借りに行こうぜ」

そうして高等部にいる翔ちゃんのところにまでセーターを借りに行き、無事私はこの寒さを凌ぐことが出来た!翔ちゃん様様である。

因みに健は先に翔ちゃんのブレザーをお兄さんに奪われていて借りれずじまいで今もなお寒いままである。かわいそう。いつものことだけど。

あまりにもかわいそうだから特別に今日はずっとくっついていてあげようかな。な〜んてね。

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