海の向こうの色を見る

識織しの木

ルーナ

揺蕩い 漂い 流されて

流されて 流されて

とんでもないところに

辿り着いてしまった


地球という地獄

息るという地獄

息ねばならぬという地獄


無力に 無気力に

抗うことをせず

自分というものを忘れ

精神を殺害し

にくたいを動かすだけの

ただ空っぽな魂となり


喜びを亡くし楽しみを亡くし

悲しみを亡くし慈しみを亡くし

憤怒を隠し持ちながら


幾月歩き

幾年歩き


十五年目の箱の中

微かに笑んだルーナの姿

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