第三話 満身創痍(バットエンド1)

第三話 満身創痍(バットエンド1)

その日の帰り道、俺は神無の後ろを歩いていた。彼女は気付いていない。信号が青になった。彼女に向かって信号無視のトラックが突っ込もうとしていた。そのことに彼女は気付いていない。とっさのことで俺は必死になった。彼女をかばって死のうと構わない。そして、俺は彼女を突き飛ばし、自らが彼女のかわりに犠牲になった。意識が反転する。彼女が助かるのならそれでいい。その後、俺が目を覚ますことはなかった。

彼女の両親は律儀に毎年お盆にお墓参りに来て神無の近況を報告してくれる。

彼女は、本当に心から愛することができる人と出会い、結婚したそうだ。彼女の花嫁衣装の写真をお供えしてくれたが、その花嫁衣装を着た神無の隣に立つ男が俺じゃないのは仕方のないことだろう。結論として残ったのは、「俺がこの世にいなくても彼女は幸せになれるし、俺がいなくても世界は回るのだと。」もしもこのあと人間に転生するのならば、来世は幸せになりたいと思った。

バットエンド1 完

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