第20話 新興貴族として
ー カレンとの婚約!
帰りの馬車の中、カミュが僕に耳打ちして来た
「カレンお嬢様との事は何時辺境伯様に報告するんだい?このまま行くのかい?」
と、僕はしばらく意味がわからなかったが、今までの僕の言動を思い出して気付いた。
ふと横のカレンを見ると目が合った瞬間に目を逸らし顔を真っ赤にするカレン。
「ああ僕の軽はずみな言動で・・・これは責任問題だな、覚悟しよう。」
と腹を決めたのだった。
辺境伯の屋敷に着いた後僕は辺境伯から呼び出しを受けた。
自家に帰り僕は母にカレントのことを話しこれからのことについて自分の考えを伝えると
「それは良いわね、お母さん達は賛成よ。頑張ってきなさい。」
と送り出された。
辺境伯の屋敷ないで夕食に招待された。
ニコニコしていた辺境伯夫人に難しい顔の辺境伯様。
「今一度お礼を言おう、よくぞダンジョンを踏破した。しかもその方らの王家への献上品を見て国王が大層心を動かされた様だ。今辺境伯派と国王派は新たな関係に至っている。これについても感謝する。」
と頭を下げた。
「?え、そうなんですか?」
よくわからない受け答えをする僕にさらに辺境伯様は
「カレンのことは聞いておる、それ自体は問題ないよろしく頼む。今はまだ確定していないが国王もお前に娘を娶らせたい様子だ。考えておいてくれ。」
と予想の斜め上の話をされた。
僕はカレンと目を合わせてアイコンタクトで
『後でで話そう』
と合図した。
ーー 王女ミルフィーユ 8歳 side
この世界では子供の成長は早い、10歳になれば成人である。
よって8歳の学校や学園に入学する頃には婚約者を決める貴族がほとんどだ。
国王の娘であるミルフィーユそんな年頃の女の子であったが、夢見るばかりの少女でもなかった。
「私は王国のためになる相手と結婚をしなければならない。容姿や年齢は二の次なのである。どこに嫁に出されても問題ない教養と品位を物しになければ。」
と常々公言している王女なのである。
そんなミルフィーユに父である国王が
「お前に良き相手を見つけた、年もちょうど同じ様だもう少ししたら会わせるのでそれまで楽しみに待っておれ。」
と優しく言われたのだった。
私の旦那様になる方はどんな方なのであろうか?
その日から王女は身の回りの世話をする侍女に情報を集める様に指示した。
するとある日、父から
「お忍びで王都城下に向かうが良い、話はここに居るエバンに伝えてあるからその目でよく見てきてくるが良い。」
と言われた、理由や相手の情報を言われなかったが多分以前の話の相手がいるのだろうと思った。
王都の商会通りで買い物をする一行を見ながらエバンが
「あそこに居る黒髪の少年が目的の相手です。」
と教えてくれた、その少年は同じ歳と思えぬほど大人の感じがする少年だった。
ランチの時間になり一行が流行りのレストランに移動するのに付いて同じレストランに入った。
しかしかなり混んでおり、相席してほしいと頼まれた。
仕方ないと思いつつも彼らの場所を目で探すと、その彼らとの相席だった。
「失礼しますわ。私が相席してもよろしいかしら。」
と言えば
「どうぞどうぞ、田舎者の集まりですが宜しければ相席ください。」
と椅子を引いてエスコートしてくれた。
この度貴族になったと聞いていたがその振る舞いは貴族そのものの教養を受けたものの様だった。
「ありがとう存じます。」
と答えて座り、食事を共にしながら話に混じって楽しい時間を過ごした。
王城に帰りお父様に報告
「あの方であれば私は喜んで降嫁致しますわ。」
と答えると父も
「そうかそれなら話を進めるよ。」
と喜んでいた。
ー 辺境伯の一室
「カレン、さっきの話はどう言う意味?」
と話出すとカレンが
「多分私の感では・・王都の食事の時の令嬢が相手よ。」
と言い出した、王都の食事・・レストランか・・そう言えば相席した貴族令嬢がいたな・・可愛い子だった。
「え!あの子が王女様だって言うの?」
「ええ多分間違いないわ。昔王都のパーティーに連れて行かされた時に見かけた王女によく似てたもの。」
と自信満々。
「え、カレンはそれで良いの?」
「どう言う意味?貴族は跡取りを残すのも仕事よ、妻の2人や3人は普通。そうなると私が第二夫人だけどあの子が第一夫人をするなら問題ないわ。」
とあっけらかんとした意見だった。
貴族の女の子は割り切っているんだな、と思ったが最後に。
「でも心は私を一番と思っていてね。」
と釘を刺された。
この後2週間ほどでカレンと僕の婚約パーティーが行われて、晴れて僕らは婚約者となった。
異世界とは言え9歳で婚約って早すぎるよ。
ーー 1学年修了式
その後は特に目立ったこともなく学校生活は1学年の修了式を迎えた。
その後1月ほどの休みがあるがそれに合わせて王国から呼び出しを受けた。
名目は「領地の準備ができた」と言うものだった。
辺境伯に伴われて僕は再び国王に前に、今回は以前と違う部屋だった。
「ここは国王の私的な会合場所だ。」
と辺境伯から囁かれた僕は、国王とその後ろから部屋に入ってきた少女を見て
『やっぱりあの時の令嬢だ』と思った。
「ゆっくりしてくれ、後からシャドー子爵に渡す領地の許可状を宰相が届けるのでな。ここでは我が娘を紹介しておこうと思い連れてきた、挨拶をしなさい。」
と言われた令嬢は綺麗な貴族令嬢的挨拶をした後
「お初にお目にかかります、第三王女のミルフィーユです。」
と挨拶、僕も慌てて
「は、初めまして。僕、私はこの度国王様から子爵位を頂きましたシャドー=カスタードです、どうぞよろしくお願いします。」
と緊張した声で答えると、クスクスと笑われた。
「実は娘を子爵に合わせたのは、婚姻の申込みだ。どうかな?」
と国王に言われて
「はい、とても光栄なお話です。ただ私には辺境伯様の御令嬢カレン様との婚約が整っておりますが・・・問題ないのでしょうか?」
「ああそのことか聞き及んでおる、問題ない。」
「ありがとうございます、私には過ぎたるお話ですが謹んでお受けいたします。」
「そうか、相わかった。ミルフィーユお前も問題ないな?」
「はい私に嫌はりませぬ。」
と言うことで簡単に王女様との婚約が内定し次に長期休みの際に発表となった。
ー 2学年1月目
新しく2年生になり変わり映えしないクラスメートと再開を喜ぶ。
担任はサファイア先生から代わり、王都から来た若い男性教師だった。
「初めまして、私が君たちの担任になったセイント=デュラハンです。先行は魔法と古代史だからよろしくね。」
意外と軽いノリの先生だった。
2年からは専門的な学習を受け付けるためにクラス内でもいくつかに分かれて授業を受けることになる。
チカとカミュは剣や体術などの剣士寄りの授業を僕やカレンは魔法寄りの授業を受け始めたにだ。
ー ある日の魔法の授業
「今日は召喚魔法の授業を行うよ、これは自分の適性属性と魔力量で召喚できるものが変わるので楽しみにしておいてね。」
と言いながらセイント先生は教室の中央に魔法陣を設置していった。
「はい、誰から始めようか?」
と言いながら先生に目の前に生徒から時計回りに魔法陣の側に立たせ、魔力を込めるように言われる。
1人ずつ召喚獣が現れて生徒がそれを大事そうに抱えて席に戻る。
中には
「我の主人になりたくば我と勝負せよ!」
と言う召喚獣もおり、その時は送還し別の召喚獣を呼び出していた。
「次はカレン様は、精霊をその身に従えているので今回は致しません。シャドー子爵あなたの番です。」
と呼ばれ魔法陣に魔力を流すと
「ご主人女我に何がようかな?」
とエースが呼び出された、そこで先生にこれは僕に使い魔の一つだと説明すると大変興味を持っていた。
なぜか後で残りも召喚してほしいと言われたので、見せたがなぜか先生が興奮していたような。
ーー セイント=デュラハン side
私は王国魔法師団の副師団長セイントである。
この度ミルフィーユ王女がスペルナ辺境伯の寄子であるシャドー子爵に降嫁することになり、シャドー子爵の為人と魔法の腕を確かめるために学校に教師として派遣されたのだった。
最近の辺境伯領の発展は目を見張るものがあり、その裏にシャドー子爵が居るとの噂もあったことから、どんな生徒かと興味を持って赴任するとそれ以上の興奮が私を迎えていた。
本日は召喚獣の授業を行ったわけだが、既に獣魔を手にしているシャドー子爵は召喚してもその従魔が現れるだけだった。
しかしその従魔は、聖獣と呼ばれるものから死神と恐れられる魔物まで4体の高ランクの獣魔達だった。
それだけではなく彼のチームのものには全て従魔が居て、ドラゴンまでいると言うではないか。
危険がないドラゴンに触れられるだけどもここにきた甲斐があったと興奮して寝られなかった。
話は戻ってシャドー子爵に関してはもう学生で居ることがおかしいほどの博識と実力だった。
魔法については私どころかこの王国の魔法師団全員がかかっても彼に敵うとは思えないほどの実力を秘めており、そに博識は古代史を研究する私の師匠になって欲しいほどだった。
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