第17話 使い魔をその手に 後編

ー ブルーの聖獣



フェニックスは近づくブルーの目をじっと見ている。

ブルーは緊張しながらも自信に満ちた足取りで手にした魔法袋から何かを取り出した。


「さあ聖獣フェニックスよ、私の元に来てください。」

と約10mほどの距離を置いて座るとフェニックスに声をかけながらヒラヒラと手のものを振った。


「!・・この匂いは何と甘く美味しそうなんだ!」

聖獣フェニックスが思わず念話で呟いた。

ブルーが取り出したのは、僕が渡したスイーツだ。


「これはねシュークリームと言うスイーツよ。ほら割ると中からトロリとクリームが溢れる、私一押しのスーツよ食べてみて。」

と言いながら皿に3つ載せて自分の前に静かに置いて先ほど割ったシュークリームを目の前で食べ始めた。


シュークリームから目を離せない聖獣フェニックス、知らず知らずにブルーの目の前まで寄って来ていた。

「いつ食べても美味しいわ、どうぞ貴方の分よ。」

目の前まで来ていたフェニックスにブルーは皿を目の高さに上げて誘った。


パク、思わず口にした聖獣フェニックスは目を丸くしていた。

「美味い!甘くてサクサクのシュウが生クリームとカスタードクリームがを包み込んでその香りを閉じ込めている。美味い、美味い・・人の世にこれほどの食べ物が出来るようになったのか。」

好奇心の高いフェニックスは人知れず異界のスーツの味に虜になっていた。

(意外と詳しいのは聖獣だからかな?)

「私と契約してくれればこの様なスイーツをたべさせるわ。」

と言うブルーの言葉に

「良いだろう、少しの間お前と共にいよう。だからこれを定期的に供よ。」

と言うので、

「よかったわ、これで私にも立派な聖獣が共となった、名はサンと名付ける。」

と皆を見ながら誇らしそうに宣言した。


その時契約が成立した魔法陣が現れて、ブルーのステータスに

使い魔  フェニックス(サン)

スキル  超回復  特級火魔法  聖属性(大)

が新たに加わっていた。



ー チカとカミュの使い魔 ドラゴン編



最後はチカとカミュだ、彼女らの使い魔はドラゴンにしようと僕は考えている。

ドラゴンの居るところに心当たりがある、

[ドラゴンの巣]

だ。


チカは索敵と回避を主眼に風竜か飛竜だな、カミュは火力と鉄壁で火竜か地竜だな。


「それじゃ次は準備があるから学校に帰って明日一番で向かおう。」

と声をかけて転移で学校に戻った。


学校のテラスで僕らは明日の作戦会議を行う

「ドラゴンの巣に行きたいと思う。チカには素早さ主眼で風竜か飛龍を、カミュには力で地竜か火竜なんか良いかなと考えているんだけどどうかな?」

と言うとカミュが

「え!俺にも使い魔が・・しかもドラゴン・・良いのか?」

「良いも悪いも使い魔が欲しいんだろ。」

「ああ、欲しい!よろしく頼むよ。」

手をとって拝む様に言うカミュ。

そこまで喜んでくれるなら頑張ってみようかな。



ー 次の日



張り切っているカミュとチカを連れて竜の巣の近くに転移する。

「あそこに見える山を中心に種類別にドラゴンがいるからな、基本ドラゴンは人の戦いに参加しないから目的のドラゴンが見つかったら勝負を挑めよ。」

と言うと

「勝負ですか!」

とチカが慌てて聞き返す

「そうだよ、ドラゴンは自分が気に入った相手でなけりゃ話にもならないからまずは力比べだよ。頑張って気に入られる様にな。」

と言いながら移動していると地竜の群れが見えて来た。


「カミュどうする?絶対防御なら地竜が最高だぞ。」

「ん〜ん、僕は力が欲しいからな。地竜でも力が増えるなら挑戦してみようかな。」

「よしそれならどれにする?」

と言うと5・6頭の地竜をじっくり見ながら一頭のバカでかい地竜に狙いをつけた様で、

「コイツが強そうだ、これにする。」

と言い出した、

「おい、そいつは強すぎじゃないか?お前が勝てなければ話に何ないんだぞ。」

「そんなの分かっている、だからコイツじゃないとダメなんだよ。」

と答えて地竜に向かうと

「俺と力比べをしてくれ」

と頭を下げた、地竜は暫くカミュを見ていたがおも無理に立ち上がり一声吠えた。

「ボオーーー!」


まともに声を浴びせられたカミュは崩れそうになる膝を支えて持ち堪えると

「おりゃーー!」

と叫び返した。

これが合図かと思える感じで地竜とカミュの闘いが始まった。



この地竜は物理攻撃・魔法攻撃軽減のスキルを持つもので、攻撃スキルは踏みつけ・噛みつき・ブレスだった。


カミュが僕特製の武器でその頭を火花が出るほど叩くがあまりダメージは通っていない様だった。

動きは遅めだが大きいためにその一歩が大きく避けきれずに飛ばされては戻ってくるカミュの姿が次第に泥だらけに変わり始めた。


装備は僕の特製で丈夫さと耐魔法・物理が効いているので、飛ばされても大したダメージはない。

それでもあれだけやられれば、精神的にダメージが溜まりそうなもんだが・・・。

ニヤけた顔をしながら地竜に突っ込んでいくカミュを見てると、この戦いに興奮している様だ。


3時間ほどやり合っていたが腹が減ったのだろう

「ちょっとタイム!飯にしよう。」

とカミュが声をかけて魔法袋から大量の食料を取り出すと

「お前も食べなよ、美味いぞ。」

と言いながら1人と1頭は同じ飯を食べ始めた。


その後休憩後また戦い始めたカミュ、日暮まで戦うと

「今日はここで終わりだ、又明日来る。」

と言うと僕の方に戻って来て

「シャドー君明日もお願いするよ。」

と言い出した。

「分かった。」

と答えた僕はそれから3日間カミュに付き合う形でドラゴンの巣に来ていた。

ただ次に日からは僕はチカの相手を探して他の場所に行っていたけどね。



ー チカの使い魔は飛龍



次の日カミュを送ると僕はチカと別の場所に移動していた。

「あそこに見えるのが飛龍の様だ、彼らならスピードがあるから良いんじゃないかな。」

「うん、私もそお思う。よろしくね。」

と答えてトコトコと飛龍の元に向かったチカが大剣を構えて

「私と戦ってくださいl

と飛龍に声をかけていた。

それに対して飛龍は

「我に戦いを挑む目的は何か?」

と念話で聞いてきた。

「私は共に背中を預ける友を探している、あなたが負けたら私の友になって一緒に生きて欲しい。」

と言うと

「珍しい人がいたもんだ、良かろうかかって来なさい。」

と翼を広げてチカを待ち構えた。


「いざ尋常に勝負よ!」

と掛け声をかけたチカが素早く跳躍して大剣を飛龍に叩きつけようと振り下ろす。

しかし既にそこには飛龍の大きな体はなかった。

一瞬でチカの後ろに移動した飛龍が前足でチカに襲いかかる、チカは辛うじて体験でその爪を防ぐとチカも姿がブレて消えた様に移動する。

しかしその移動先に既に飛龍が移動済みで、前足の攻撃を受けて飛ばされる。

そんな飛龍の攻撃にも十分に耐える僕特製の装備が仕事をする。


魔力を高め身体強化を更に強くしたチカがさっき以上のスピードで移動する、今度は相打ちの様だが身体の大きさでチカが再び飛ばされる。

「まだまだ、これからよ。」

その日チカも勝負はつくことなく、次の日に繰り越すことになった。


僕は2人を連れて連日龍の巣に送迎を繰り返すこと4日目、チカの飛龍が先に根を上げた。

「我の負けだ、お前の友として暫くそばにいて力をかそう。」

と言うと人化してチカのそばに立った。

その姿は青い髪をしたイケメンだった。

「・・よろしく・・・おながいします。私はチカ、貴方は?」

「我に名は無い、今ここで名付けてくれ。」

「それなら・・・スカイ・・はどう?」

「良かろう今日より我はスカイ、チカの友だ。」

と言って契約の魔法陣が光った。

チカのステータスに


使い魔  〜  飛龍(スカイ)

スキル  〜  敏捷➕20000 飛龍の目


が増えていた。



その次の日、カミュの方も決着がついた様だ、地面に倒れ伏すカミュに

「よくぞここまで戦った、お主のその姿に負けた。仲間になろうぞ!」

と言うと人化してカミュの手を引いて起こし上げた、その姿は妖艶な女性だった。

「え!地竜?どうして?」

「我ほどになればこのくらいは朝飯前だ。早く我に名をつけよ!」

「は、はい。おま・貴方の名は・・スイ・・です。」

「スイ?どう言う意味じゃ?」

「翡翠の様に美しく神秘的な姿という意味です。」

と顔を赤らめたカミュが答えると

「そうか、美しいか。良かろう我がなはスイである。」

と答えた時に魔法陣が光った。


カミュのステータスに


使い魔   〜  地竜(スイ)

スキル   〜  絶対防御  反射

と言うのが加わっていた。

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