第11話 王都のお土産を配るのも社会人としての常識

ー 王都から帰ってきたその日



僕らは父抜きではあるが、村の家々にお土産を配って歩いた。

「ほー、これが王都のお菓子かね」

「王都の酒か、ありがとよ。」

「こんな綺麗な布があるんかい」

などと人それぞれの感想とお礼を言われながら、夕方には家を回り終えた。


「母さん疲れただろ、今日は僕の手料理をご馳走するよ。」

と言いながら家の横にユニットバスをはめ込んだ浴室用の小屋を設置した。

「お風呂の準備は出来たから、お風呂に入ってきてくれよ」

と言うと「え!」と言う顔で小屋を確認し

「王都にあったお風呂があるよ。ありがとね、ブルーちゃん一緒に入ろう。」

と言いながら2人で浴室に消えていった。


「さあ、夕飯は何にするかな?カタログにあった「チキン南蛮の素」と「焼く肉のタレ」召喚して・・・王都で仕入れた鶏肉とオーク肉で肉料理を作ろう。」

と言いながら魔道調理具を台所に出して調理し始めた。


その日の夕飯はとても懐かしい味がした。



ー 森の中



ブルーと森の中で新装備やマジックアイテムの使い心地を試している。


「シャドー様、この装備は本当に素晴らしいです。魔力が使っても使っても減る様子がありません。」

と魔法を使いながら興奮気味に話す。


『そうだろう、ブルーの装備には魔力長回復と魔力量10000の装備が5つ備わっているんだから』と思いながらも

「まあまあな性能だよ、ブルーがもっと高位の魔法を使うようになればそれでも足りないくらいさ。」

と答えておいた。


しかし予想以上なのは、使い魔達の強化具合だ。

みんなランクが1つか2つ上がったような強さになっていた。

そしてエンジェルが進化し、人化を果たした。

真っ白な少女だ。

直ぐに王都で仕入れた服を着せて、ブルーに世話をさせた。

何故なら人化状態ではレベル1 と表示されていたからだ。

ステータスそのものはさすがと言えるものだが、二本足で歩いたことがないし目が二つなのに慣れず、フラフラしていたからだ。


他の使い魔はと言うと

・シャル 〜 猫獣人化

・エース 〜 オオカミ獣人化

・ホーク 〜 有翼獣人化

をそれぞれしていたが、エンジェルほど困ってはいなかった。



ーー 辺境伯の城にて


「辺境伯様、奥様それにスタディー様、エステランド様これは僕が王都で買い求めた品と僕が製作した品物です、宜しかったらお納めいただければ幸いです。」

と言いながらテーブルにそれぞれの品お出して披露した。


「これはマジックアイテムなのか?説明をお願いする。」

辺境伯様が直ぐに品物の価値に気づき説明を求めた

「流石辺境伯様、これは状態異常無効のマジックアイテムでそれぞれネックレスと指輪の形をしております。これらは防御用の結界魔法付与のマジックアイテムでAランクの魔物であればまず破ることはできないでしょう。」

と腕輪の形をしたマジックアイテムを説明すると

「このようなものが王都でセリに出されたなどとは聞いていないが・・・まさか創ったのか?」

「はい、手慰みで作りましたら予想以上に良いものが作れたので。」

「・・・・・。」


「ねえ、これは美容用の品物ですか?」

夫人が興味深そうに尋ねる

「はい、以前カレン様が奥様に紹介した品がとてもお気に入りだと伺ったので、それ以上の効果のあるものを作りお持ちしました。」

「まあー、それはありがとう存じます、大切に使わせてもらうわね。」

ニコニコ顔で商品を手に取り満足そう。


「なあ、シャドー君。この件や装備はとても軽いが材質は何だい?」

「それはミスリルでございます。軽い上に魔力を流すと強度が一段回上りますので、いざ活躍の場面ではきっと満足すると考えております。」

と答えると長男スタディーは、感心しながら

「これは君が創ったのそれとも買い求めたの?」

「恥ずかしながらそれも私が鍛えた物です。」

「凄いな君は」


その後は王都の美しい布地や酒などを確認してお土産の披露は終了した、カレンの分はすでに渡していたのでここでは披露しなかった。



ーー  スペルナ辺境伯  side



今日シャド君が王都のお土産だと言いながら我々れ家族にお土産という名のプレゼントをくれた。

しかしその殆どが彼の自作の品物で、国王級のマジックアイテムも幾つかあった。

その前に彼の父親が騎士団の団長や副団長にお土産という名の同じような貴重な品物を贈ったと聞いていたがそれ以上の品物で、当然全て家宝になる上家族の身を守る品物だと理解している。


本当に彼はどれ程の力を持っているのか?これらの装備をある程度の数作れば無敵の軍団すらできそうだ。


何とかカレンが上手く彼の心を掴んで欲しいものだ。

この酒も美味いな。



ーー 収穫祭が始まるので外壁を広げる



夏休み期間中に収穫祭が行われる、スペルナ辺境伯領でも同じだ。

僕は故郷の開拓村の補強と拡張に汗を流している。


コンクリートを土魔法で作ることができるようになった僕は、錬金術で鉄筋と補強のシートを重ねて外壁を高く積み上げて行く。

高さは50mで厚みが5mも有る外壁は今までの木の柵の外側に大きく広げて囲うように設置して行く。

その外側には幅10mの堀が深く掘られ、満々と水を満たしている。


外壁の形はいわゆる5角形の星形で、先端には物見の塔がそびえている。

魔物用の撃退兵器は、大型の弩弓に石などを飛ばす投石器に火炎放射器だ。


開拓村の人はそんな外壁が作られていたことを完成間近まで気付かないほど壁は外側に大きく拡張されていたのだ。


そのおかげで安全な耕作地も確保できたと喜んでいた。


収穫祭が行われた日に視察に来ていた辺境伯の官吏が驚いていたのが可笑しかった。



ーー 収穫祭にて


僕は使い魔を連れて連日、魔の森で狩をしていた。

何故かカレンも来ていて「一緒に行きますわ」などと言うので、地下を含めた3人での狩は予想以上の収穫となり、それぞれのレベルも数段上がったりした。


「カレンお嬢様、これが魔法袋です。ご自分の成果をお持ち帰りください。」

と言いながらカレンとチカに魔法袋を渡し、第一の街ゲルに送り届けた。


そのついでに僕も食肉にならない魔物を中心に素材をギルドに大量に卸した。


開拓村では僕が狩った魔物の肉をメインに王都で買い求めたお酒や珍しい食材を振る舞って大いに盛り上がった。



ー 辺境伯領の収穫祭  スペルナ辺境伯



スペルナ辺境伯は娘カレンが魔の森で狩ったと言う魔物の種類とその量に目を見張った。

「カレンよお前は今レベル幾つなのだ?」

「えっと、今は・・・レベル・・160よ。」

と答える娘にしばらく声が出なかった。

レベルはその者の身体能力の指標となるもので、魔法に特化した者や剣や身体能力に特化した者に別れはするがそのレベルのおおよそは、

・ 一般成人   レベル10〜20

・ 兵士     レベル25〜55

・ 兵士長    レベル60〜100

・ 騎士団長クラスレベル150〜

・ 英雄クラス  レベル200〜

と言われている、そんな世界でレベル160と言うのは騎士団長クラスという事ではないか。

聞けば身辺警護のチカも同じくらいだと言う、シャドー君はどんな育成をしているんだ?


しかしお陰で領民達に振る舞う魔物肉が大量に用意できたお陰で、今回の収穫祭は大いに盛り上がった。


ただ、開拓村の視察から帰ってきた部下の話では、開拓村が大きく変貌していると言う。

近いうちに確認しに行こうと思う。


そう言えばあのお土産をもらった頃から妻が非常に魅力的かつ若々しくなったと思う、最近朝起きるのが辛いほどだ・・・強精剤でも創ってもらおうかな。



ーー 秘密の隠れ家の充実



子供の頃から色々なものが出来るようになると隠していた岩穴風の隠れ家を拡張している。

転移門を備えたその場所は、今では岩山のほとんどをくり抜いた状態でかなり広くなっている。

当然外壁の強度は十分に上げており、ドラゴンが攻撃してもびくともしないはずだ。

ここは開拓村の避難所も兼ねているのだ。


今日からしばらく地下を掘り進める計画だ、可能であれば温泉を掘り当てて洞窟風呂もいいだろう。

人が生きるには食料が肝心だ、そこで擬似太陽を設置したかなり広い穴を掘り牛や羊などの放牧も始めている、世話をするのはゴーレムだがゴーレムの精度がかなり上がってきたので計画が進んだと言える。

もう少しでゴーレムと言うよりアンドロいでと言う方が合っている擬似生命体の人形が出来るだろう。

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