第10話 家族旅行後編

ー 5日目



父親と僕は昨日父親が倒した魔物を買い取ってもらいためにギルドに来ている。

「買取をお願いしたい、量が少し多いので裏に行きますね。」

と声をかけて裏に向かう、職員も以前の話を聞いていたのでしょう問題なく裏に案内してくれた。


「今度も凄いですね、ただランクは低めですね。」

と言う職員に父が

「これは新しい装備の調整で倒した俺の獲物です、だから少ししょぼいんですよ。」

と言うと

「とんでもない、これでも十分すごいです。Bランクの冒険者でしょうか?」

「え!Bランク、俺は辺境の兵士ですよ。」

と答えていた。


買取額は金貨20枚、

「よしこれでプレゼントを買うぞ!」

妻思いな父でした。



ー 6日目



父と母は2人でいそいそと出掛けて行った。


僕はブルーを連れて買い物だ。

「何か欲しいものはないのかい?」

「もうお返しできないほど頂いているので・・・。」

硬いな。


僕は仕事部屋とキッチンで色々と作ることにした。

「先ずは状態異常軽減の指輪を作ろう。」

男爵領で手に入れた鉱石を使いながら魔石と合成して指輪を錬金していく、最後に魔法を付与して

「出来た!鑑定して確認だ・・ん!・・状態異常無効!出来すぎだ。」

気持ちを切り替えて、スイーツを作ろう。

アイスにプリント生クリームを乗せて季節のフルーツを合わせて出来上がり。

収納して母とブルーの帰りを待つ。


午後3時、帰ってきた2人を呼んでスイーツを取り出しながら

「これは今までの感謝とこれからも健康でいますようにと言う気持ちで作りました。どうぞ食べてみてください。」

とスプーンを手渡す。


感激しながらスプーンをスイーツに、そして口に運ぶ。

「!すごく美味しい!こんなスイーツ初めてよ。嬉しいわ。」

「ええ本当に美味しいくて優しい味、シャドー様そのもののスイーツです。」

2人に感想を聞きながら満足する僕。


僕の[等価交換召喚]を使えばいつでも地球のスイーツを食べさせることが出来るのだが、こちらの世界で出来るものはあまり召喚しないようにしているのだ。



ー 7日目


今日は僕は錬金術の作業があるため両親とは別行動をとっている。

ブルーにも両親と出掛けて良いよと声をかけたが

「私はシャドー様のお手伝いをしたいです。」

と強く言われたので、お手伝いと言うかマネキンをしてもらっている。


今僕が作っているのは、新たな装備とマジックアイテムだ。

王都の職人街で名工と称される職人の商品を買い付けてその技術を解析した僕は、同じ以上の品物が作れるようになっていた。


「それじゃー、計測するね。」

と断りながらブルーの体を計る、ブルーは魔法がメインなので防御用の装備やマジックアイテムが必要なのだ。

「自動でサイズ調整する機能を付与すれば良いのではないですか?」

ブルーが疑問を口にする

「えとね、サイズ調整を付与したら付与の枠が一つ塞がるんだよ。僕は装備などを作れるから体のサイズが変わったらその度に変更すれば良いだけのこと、そのために大切な枠を消費したくないのさ。」

「なるほど」

そうなのだ僕は色々な機能を盛り込みたいので枠を無駄にしたくないだけなのです、決して不埒な思いで計測している訳ではないのです。


さらに使い魔達にも装備を作り装着してみる。

元々A・S級の魔物なので強いのだがさらにその強さを向上させようと考えたのだ。


次に簡易転移門のマジックアイテムを作る、転移門は固定式の大量移動のマジックアイテムだが維持や管理に人手やお金がかかる。

僕の作ろうとする簡易版は、壁でも空間でも好きな所に限定移動だが転移門を一時的に作ることが出来るのだ。

これのデメリットは、一度に転移できる量と人数に制限がありさらに転移先が3つに限定されることだ。

メリットは、僕らのチーム程度の規模と荷物なら問題なく即転移できると言うことに限る、ただし向こう側にもこのマジックアイテムを置いておくことが必要だが、それは僕自身が転移魔法で設置すれば良い話だ。


そして今回の目玉的なマジックアイテムは、ズバリ異世界版スマホだ。

チーム内での通話はもとよりこの世界の知識を検索することが出来るのだ。

なぜそんなことができるのかって?


新たに僕は「叡智」と言うスキルを身につけたのだが、それはこの世界の知識を閲覧できる物だったんだ。

当然全てをコピーしてサーバー的な僕のスマホにダウンロードしたよ、これで僕の仲間が何時でも知りたいことを知ることができるようになったんだ。


今の僕のステータスは


ステータス

名前 シャドー  人種  男  レベル1560(偽装20)

MP(魔力) 2300000(偽装400)

HP(体力) 240000(偽装200)

VIT(耐久) 150000(偽装200)

DEX(器用) 80000(偽装100)

AGI(敏捷) 140000(偽装200)

STR(力) 230000(偽装300)


ユニークスキル(隠蔽中)

等価交換召喚(解放) 魔法創造

魔眼(遠視、透視、麻痺、睡眠、毒、腐食、呪い、停止)

成長率20倍  転移魔法    叡智new


スキル(隠蔽中)

超魔力回復    魔力操作   身体異常無効   錬金術  鍛治魔法

魔力増幅大    鑑定    引き寄せ  収納魔法   自動解体

成長率アップ(偽装表示) 全属性魔法   飛行魔法   次元魔法

治療魔法   身体強化(表示中) 魔道具創造new(表示中) 調理の鉄人new(表示中)

限界突破new MAP new


加護・称号

創造神の寵愛(隠蔽中)  地母神の加護  ドラゴンの主人(隠蔽中)  魔王(隠蔽中)

解放者new(隠蔽中) ブルーの主人new


である。



ーー ワンポイント 異世界人の身体


この世界で早くからお酒が飲めたり、年端もいかないのに大人っぽく考えや行動、それにかなり成長が早いのは、それだけこの世界が危険だからだ。

自然の動物でも産まれたその日に走り出す動物がいるように、人も1歳を過ぎた頃から地球人の数倍の速さで成長し始める。

ただその成長速度に個人差があるのは当然だし、頭だけとか身体だけとかが成長することもあるんだ。


だからブルーが同級生として編入してきても違和感はないというわけ。


それに寿命がまちまちなのも常識で、50歳くらいで死ぬ人もいれば300歳まで生きた人種もいる。

寿命の違いは魔力量や血統や種族それと神の加護だね。



ー 8日目



朝から教会に家族みんなで行くことになった。

理由は昨夜、教会の使いが訪ねてきて

「聖女様がお逢いしたいそうです。」

と伝えてきたからだ。


聖女様?まだ会ったことのない人が僕の家族になんの用なのだろう?


朝食を摂った後に丁度のタイミングで迎えの馬車が来た。

皆で馬車に乗り込む、すると馬車には1人の少女がいた。


「初めまして、セリーナと申します。」

少女は和かに微笑みながら自己紹介してきた。

聖女様の侍女のような人なのかな?


僕や家族が慌てて挨拶しながら自己紹介を済ませると、セリーナは

「馬車を出してください」

と御者に伝えた。


僕は途中からこの馬車が教会に向かっていないことに気づいていたがその話はあえてしなかった、それは彼女が「聖女様」だったと鑑定で気付いたからだ。


馬車は王都の門を越え小高い丘にやってきた、

「聖女様ここは何処ですか?」

と僕が尋ねると

「やっぱり分かっちゃいました。」

とイタズラがバレた少女のような表情で答えると

「ここは歴代の聖女が眠る「聖女の丘」と呼ばれる場所です。先代の聖女様もここで眠っておられます。シャドー様ご家族をここに連れてきたのは、歴代の聖女様達が待ち望んだ人を引き合わせるためです。」

と言いながら馬車を降りる、皆がその後を付いて降りるとそこは。


「素晴らしく綺麗なところですね。」

と思わず声が出るほど丘一面が花で覆われていた。

「ええ、ここは神が私達に与えた地上の安息地です。どうかシャドー様の魔力で満たしてください。」

と言うので、無色の魔力を丘一面に雨が降るように撒くと、数十個の丸い石碑から半透明な女性が姿を現し僕の前に膝まついた。


同じような姿勢のセリーナが代表するように

「創造神様からの神託をお伝えいたします。我ら聖女はこの世界の平和を願い魔力の限り癒しを与えてきました、そしてその甲斐が実り解放者を得ることができたのです。」

と言って神への祈りを捧げた。


どうやら神はこの世界のためにその生涯をかけて尽くした聖女らに褒美を与えたようだ。

半透明な元聖女らはその後、思い思いに僕に礼を言うと空に昇って行ったのだった。

全ての元聖女が消えるとセリーナは、僕に

「ありがとうございました、なぜか私達聖女は神に召されることなくここに止まっていたのですが、これが褒美というわけだと今気づきましたわ。」

と言ってまた頭を下げた。


不思議な一時だった、その後は馬車で家に送られて終わり。

何でも僕の存在が他の教会関係者に分かると僕や家族に迷惑がかかることが予想できるので、聖女自らお忍びで来たようだ。

別れ際、僕は収納の魔道具に地球産のスーツをてんこ盛りで詰め込んで聖女様に渡したのだった。

その後聖女様に会うことがると決まって

「私への寄進は御座いますか?」

とスーツを要求する甘党な聖女様になったようですが。



ー 9日目



今日が王都観光の最終日だ、僕ら家族は馬車に乗り込み王都の外周を散策することにした。


広大な王都は馬車で一周するだけでも半日はかかる規模だ。


案内役兼御者が

「右手に見えますのが〇〇ですだ。」

「左手の向こうに見えますのが〇〇ですだ。」

と説明してくれた、語尾が「ですだ」はかなり南の出身のようだ。


昼食は王都で最も人気のあるレストランを予約してランチを楽しんだ。


家族での初めての旅行が終わりを迎えてきた、夕食には地球産のお酒とスイーツを味わってもらおう。

と思いながら僕らは王都の石畳を静かに馬車で移動していった、王都の夕日も異国情緒があって良いな。


ー 10日目


ゆっくりとした朝食後、僕の転移魔法で実家に飛ぶ。

「何か夢見たいな旅でしたね。」

母が感慨深くそう言うと父も

「俺は今からお土産を団長達に持って行くよ。」

と言うので僕は、父とその荷物を辺境伯の使徒の前に転移で運んだ。


「父さんこの後家に帰るのそれとも?」

と声をかけると

「母さんにはもう言っているから、ここで終わりさ。お前も後日辺境伯様方に挨拶に来るのだろう?」

「ああ、3日後に来るよ」

と答えてまた実家に飛んだ。


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