KAC20243 物流のリアル②「俺のかわいいファンネルたちよ!」配達は玉入れな説?

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 あの箱に、勝て!「入れ…」「当たれえ…」「俺のかわいい、ファンネルたちよ!」しかしねえ…。「俺たちのところに何でも配達しろ」それはどうかと。

 異世界でも、謎の箱を運ばなくてはならないのか。

物流は、楽じゃない。

だれかに何でも配達しろっていうのは、間違っているような気がする。

 「おい、配達員の兄ちゃん?」

 「はい?」

 「スマホの充電器を、もってこい!」

 物流は、命のリズム。

 「ピッ」

  1つの充電器が、コンビニのレジなどでスキャンされて手元に届くまでの旅は、長いんだ。

 「ピッ」

 「ピッ」

 「あん」

 充電器は、数々の部品から作られる。

 数種類の化学薬品や石油などを通じて、充電器の製造工場に入っていき、それらを組み合わせて組み立てられる。

 派遣労働者や、外国の労働者たち…。

 弱い立場の人たちが、どれだけ汗をかいていたか…。

 物流すべての製造過程が、命のリズム。

 化学薬品等を用いて加工していくときも、販売店に運ばれていくときも。

 物流の流れの中では、どれか1つの作業でも正常に通過できなければ、スマホの充電器は生まれない。プラグ(コンセント)に通されることも、なくなってしまう。

 苦労の連続だ。

 作りすぎで、かえって、在庫の山が生まれるだけ。

 保管に、コストがかかりすぎ。

 難しいなあ。

 そう、そう。

 物流って、これに似ている。

 「運動会での玉入れ競技」

 玉入れに強い子たちは、投げる前に、バラバラだった玉をまとめておく。

 これが、物流力だ!

 「準備!」

 「確認!」

 「ご安全に!」

 輸送の、準備。

 ターゲットの玉入れかごを、囲む。

 「入れ…」

 「入れ…」

 「当たれえ…」

 「俺のかわいい、ファンネルたちよ!」

 まとまった玉が、投げられる!

 外れ玉への対策は、万全。

 外れ玉だけを専門にひろう人たちが、待ち構えている。

集められた外れた玉は、すぐにまた、投げ役の人のところに運ばれる。

 再び、玉がまとめられてさ。

 もちろん、そこでも入らなかった玉が出る。そうしたら、また、外れた玉専門の運び人たちが出動する。

 物流は、連係プレーだ。

ただし!

 気を付けないと…。

再配達の箱に、食われるぞ。

あの箱には、呪いがかけられているからね。

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