KAC20243 物流のリアル③配達ドライバーVS再配達をさせすぎるわがままな人

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「再配達」は箱ホラー。「不在票」を見て、「気楽に再配達をさせるような人」は、再配達神たちに、逆襲されれば良いんだよ。

 ここ、異世界の物流業界は、今日もピンチ。

 「お荷物のお届けが遅れまして、申し訳ありません!」

 今日も頭を下げる、配達ドライバーのタカクラ。

 「おい、君?」

 会ったこともない人に、電話で怒られることもある。その人の名は、「本部」。

 事業所にも、怒られる。

 「また、不在?事業所に、荷物を持って帰ってくるな!うちは、大規模事業所じゃないんだ。荷物の置き場が、少ないんだぞ?」

 「申し訳ありません」

 携帯電話が、また鳴った。

 「あ、ドライバーさんか?また、不在票が置かれているんすけれどね?再配達して」

 情けなくなってくる。

 再配達をさせる人には、かたよりがある。

 「日中、仕事をしている人」

 他にも、こんな人。

 「自分自身で動かない人。わがままな人」

 困るなあ。

 「だれかが、俺のために何かをやってくれるのが、当たり前」

 その感覚の悪魔に、悪魔の箱(再配達の箱)を届けなければならないみじめさ。

配達ドライバーや会社、事業所の痛みを考えていないのか?

 日本の、わがままオンリーワン世代。

 「…世界に、1つだけの~♪」

 だまれ!

 「箱を届けてもらえるのが当たり前!って、思っているんだ!」

 怒りをおさえる配達ドライバー、タカクラ。

 「それでは、サインをお願いします」

 再配達をさせた男が、恐怖の箱を開けると…。

 「こんにちは」

 じじいが、現れた。

 「あんた、誰だ!」

 「わしか?わしは、再配達神じゃ」

 「再配達神、だと?」

 「ああ。神様、界王様、界王神様。大界王神様…。神様ばかりの世の中で、神様が、足りなくなってのう。わしら高齢者が、神様をはじめることになったんじゃ」

 「…」

 「わしが、再配達をさせれば良いやって考える過保護な世代に、愛を教えてやろうではないか!」

 そうして、再配達神は、はだかになり…。

 「さあ、さあ!お前も、神様になるんじゃあ!」

 「ああああー!」

 「ほれ、ほれ!」

 ふう…。

 配達ドライバーも、たまには、逆襲してやれば良いんだよ。

 あの箱も再配達も、怖いんだ。

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