男の娘は何でできている

詩森右京

男の娘は何でできている

 晴れた空。気候は穏やか。店内には人はちらほらいるが、テラス席にはその二人、彼らしかいない。

「女の子はさ」

「うん」

 彼らはお茶会をしながら言葉を零すように話す。

「お砂糖とスパイス、あと素敵なものでできているそうだよ」

 二人いるうちの一人の方がアイスティーにガムシロを入れてマザーグースの引用をする。

「それじゃあボク達はカエル、カタツムリ、子犬の尻尾でできているじゃないか」

 そうしたら、もう一人が苦笑して対偶させる。

「なにを言っているんだ。それは男の子さ」

 その言葉に「うん」と頷いてみせた。なぜなら彼の言葉の続きがわかるからだ。

「僕たちは男の娘さ」

 その会話で『オトコノコ』という言葉は二人の間で区別がついているのだった。

 事実、二人は少年であり、少女の衣服を着ている、男の娘。

 なんてことを話しケラケラと笑っていたら、店内からウエイターの女性が「お待たせしました」と苺のパンケーキと、チョコレートケーキを運んできた。

 二人は「ありがとね」と「ありがとう」といった礼を軽く言ってから甘いものに手をつけるのだった。

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男の娘は何でできている 詩森右京 @Utamori_Ukyo

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