竜の子
@20132007
第1話 僕の過去
「爽司、お母さんしばらくの間出掛けるけど一人でも大丈夫?」
「大丈夫だよ!!」
「な~に、留守の間は儂が面倒を見てやるんじゃ。大丈夫に決まっておろう。」
「お爺ちゃんに預けるのが一番心配なのよ、あんまり森司に変なことさせないでね」
「変なこととは何じゃ?少し武の心得をじゃな...」
「教えなくていいから」
「そうか……残念じゃのう」
「それじゃあ、お母さんたちは出かけてくるわね。来月くらいには戻ると思うから、それまで良い子でいてね」
「うん!!」
俺は爺ちゃんの家で毎日母さんが帰ってくるのを楽しみにしていた。すぐにでも話したかった。
友達と遊んだこと、喧嘩したこと、初めて料理を作ったこと。相談したいことだって山ほどあった。
だが、母さんが帰ってくることは無かった。
仕事で海に出ていた母さんは太平洋の海底火山の噴火による津波で死んだらしい。
そして俺はそのままの爺ちゃんの所に引き取られた。まだ幼かった俺は最初は状況が分からずに混乱してしまった。
母さんにもう会えない人生を想像できなかった。爺ちゃんはそんな俺に少しづつ説明してくれた。それでも理解できずに泣いてしまったりしたが、爺ちゃんはそんな俺をずっと慰めてくれた。爺ちゃんだって辛かったはずなのに。それから数年後、俺は母さんの遺品整理をしているときに手紙を見つけた。そこには俺へ宛てた手紙が入っていた。
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