朝食

一夜明けて会長宅で朝食を摂る穴口。


「探偵? 何でここに居る?」


会長の曾孫であるヒルマゴが顔を出す。

会長の孫がフィリピン人のハーフで彼女も何処かのハーフなので

フィリピン人のクォーターである。

日に焼けた肌と体型は美しいがセンスはあまり良くない

耳に大量に開けたピアスが装飾過多でダサい様に穴口は思った。


「アンタの依頼で会長から受けた案件で厄介な事になってきた」

「厄介?」

「警察に消されるかもしれない」

「はぁ? 何でそんな大事になってるの?

そんなに大きな話にならないと思っていたけど・・・」

「大きな話にならないってアンタが元々の原因だろうが」

「いやいや、 ちょっと待ってよ、 アタシじゃなくて

アタシの友達の友達の依頼だってば」

「その友達の友達って言うのは一体誰だ?」

「私も知らないけど会社員の人よ」

「会社員?」

「ちょっと大きな会社の中堅社員

忙しいけど私の友達のギャバ嬢といい関係になってんだよ

見つけたい・・・小学生?」

「小学って名前の高校生」

「そう、 ソイツには色々貸しが有って弱みを握ってるから

何とかして貰うって言ってた」

「何とかして貰う? その友達の友達の情報は有るか?」

「友達が名刺持ってたと思う、 持って来てくれるように言っておくよ」

「任せた」


メールを終えたヒルマゴは朝食も摂らずに外に出る。


「朝飯は?」

「途中でモッスにでも行きますよ」

「あ、 そう」


確かに美味しいけどこの朝食は忙しい朝には向かないな。

と思う穴口だった。




朝食を食べ終えた頃、 スマホに連絡が来た。


「もしもし」

『穴口さん、 法務部の六射です』

「どうも」


六射は交渉人ネゴシエーターだったが力量の高さから

会長に拾われ法務部で働いている。

穴口とは似た様な経緯を持ち、 二人の中も左程悪くない。


『昨日の襲撃の件ですが、 アレ警察は関係無いっぽいです』

「どういう事ですか? 銃声は確かに・・・」

『えぇチースペで間違いありません、 撃った奴は朝子と言う女性です』

「朝子・・・あぁ、 はいはい今夜さんの部下の・・・」

『えぇ、 今夜が死亡した時、 一緒に乗っていた彼女は

何を思ったのか今夜さんの死の詳細を調べて貰う為に

貴方の事務所にやって来たという事です

頭を強く打っていて会話があまり成り立たないのですが・・・』

「しかし、 重傷だったと聞いていましたよ?

そんな女が事務所まで来ますかね?」

『裏工作の可能性が有ると? 相変わらず心配性の方だ』

「命がかかってるんだぞ?」

『分かりました、 調べておきます』


溜息を吐きながら六射は電話を切った。

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