巨乳女騎士を添えて~【最終バトル】魔王様を出し抜くよっ!


 俺は一気に駆け出すとピクリとも動かない魔王の体へと突撃していく。

 人間の亡骸を超え、全力で走る、が、パアアアアン!!!!

 

「駄々をコネるナ」


 凄まじい突風。俺は追剥から奪ったスクロールを展開すると、目の前に三百ミリはある鉄の壁を出現させ攻撃をこらえる、攻撃がその壁に直撃し、尚も継続して激しく吹き荒れる風は、鉄の壁をへこませ、溶し、百二十インチ近くあった壁は自分を包み込むギリギリまで縮小してく。

 何とか攻撃を防ぐとまた駆け出し、距離を詰め。


「我モ心ガ痛いノ――イタッ」


 先程の攻撃で砕けた鉄の塊を魔王の頭に投げつけると、その隙に玉座のひじ掛へと上り、マウントを取る。


「愚カな」

「いつまでも寝てんじゃねーよ! 起きろ! ルーードオオオオ!!!!」


 俺が右手を掲げ叫ぶと、腕を包むようにボコボコと半透明な泡が出現し、それらは徐々に大きな口のような形状へと変貌すると、大口を開けて大粒の涎をだらだらと垂らし、奇声にも似た大音量で鳴く。

 乳山は一言呟く、「悍ま…しい」。


『ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!』

「我ノ魔力を奪うツもリか」

「喰え」


 バク #ウ縺ァ繧?☆?ィ=~^ 。





「お˝い…し、しっかりじろッ」

「グッあ˝、ア˝」


 最初に感じたのは冷たさと、高所から叩き落されたような衝撃だった。肺から一瞬にして空気が無くなり、脳は震え、眼球は流れるような景色を一瞬とらえたかと思うと、今度は後ろからも凄まじい圧力によって圧迫され、平たく伸ばされる煎餅のように一切の身動きも出来ないままに手足や、腹、指先に至るまで全身が激痛に悶え、気が付いた時には地面に伏していた。


 死ヌ。


 全身の痛みがそれを物語っている。身動き一つとれない、追剥野郎から調達したアイテムも全て使い切った、後に待つのは死、俺の脳裏にはそれが今一番確実に訪れる未来だと告げている。

 魔王はひじ掛けでほんの僅かに動かした指先を元の位置へと置き直し、冷たく冷徹に語りかける。


「たマニ居るノだ、我が寵愛ヲ受け入れズ、不遜ニモ我に反抗しテクる愚カで醜イ、愛しい我が子が…教えてやろう、魔を統べる皇、それハつマリ<神>でアル。シュノ御心に従ワナい者を我は許サン、同時ニ、受け入れルモのニは最大級の寵愛ヲ。かシコみ敬イ崇めよ、我が<世界>である、我が運命デアる! ソノ外側は物の生キレぬ天地四方、宙ノ世界ソラノセカイ

「……。」

「空気ヲ贈ろう、林檎を贈ろウ、水ヲ、大地ヲ、自由を贈ろう、我ガ世界に下レ――ジン!!!!」


 …………わ、訳わかんねえ。なんなんだよ。

 小難しい言い方すんなよな、こっちは重病人なんだぞ、頭んて回るわけねーだろ。

 ガクガクと震える腕で無理やり上半身を起こし、全身から流れる血を踏みつける。

 ただ一つ言える、この激しく痛む体でも俺は言い切れる。


「下らねえ。そんな˝つまんねー世界クソくらえ˝、俺はここを出て…適当に˝…ダラダラした…生活送るんだよォ˝! テメーのそのバカみてーな˝世界を作りたきゃ勝手にやれ˝、押し付けんじゃねーよこの老害が!!」

「…………カンドウダ」

「あ?」

「感動だ感動打間道だ環道だ官道だ完動だ観堂だかんどうだ」

「な˝、何だ?」


「――――勘当ダ。」


 突然、ぐらんと魔王城が傾いたかと思うと、次には凄まじい轟音と振動で建物が悲鳴をあげ、部屋の柱や壁天井がひび割れ壊れ始める。

 視界がぼやける、血を出しすぎた、気がついた時には上半身だけあげていた筈の腕は顔の真横にあり、揺れていようがなかろうが視野は限界まで狭まっていた、その狭まった視界は天井から桶ほどの岩が崩れ落ちると、その下には乳山が居るのを捉えていた。


「乳山ァ゛!!」

「死をもッテ反省すルがヨい」


 俺たちの上に何重にも発生した魔法陣はギラギラと輝き、その光の光量が最大に達した時、中心から青白い閃光が俺たちに向かって凄まじいスピードで駆けてくる。

 クソッ! このクズ野郎が!!!!



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