巨乳女騎士を添えて~巨乳騎士との密約もあるよっ!


 俺はクズどもから奪った戦利品を上機嫌で物色し、悔しそうに去って行くアイツらにニヤニヤしながらその中の<聖水とスクロール>をこれ見よがしに見せつける。

 それにしても、この人間つかえるな、このままコイツを連れまわして、追剥狩りと行くか?

 だが、そのほの暗いたくらみも、人間は気が付いたか付いていないか、そそくさとその場を立ち去るように再び回廊の出口の方へと歩いていく。


「帰るのかー?」

「うおっ、何故ついてくる」

「いや、まだ乳もませてもらってないし」

「当然のように言うな、ったく頼むからもうどっか行ってくれ、シッシッ」


 野良犬以下の扱いだな、骨でもくれねーと何処にも行かねーぞ? 俺は。

 ……ふむ、この反応、もしかしてコイツ気が付いてねーのか?


「よお、もしかしてお前、まだココから出れるなんて思ってねーだろうな?」



「……え?」



 驚愕、という表現が良く似合うそんな表情を浮かべ、巨乳は俺の顔を見る。

 なんだ? そんなに意外だったか? ここは泣く子も黙る難攻不落の魔王城、攻め入ることも許さない無類の城。…本来なら入ることすら出来ねーんだが、この回廊の様子を見ると、出ることはもっと不可能だろうなあ。


「う、うううううう嘘をつけ、変態野郎! お前私に嘘を教える気だな!!」


 その豊満な胸を揺らしながら剣を俺に向けて構える。

 ん?

 俺はその剣の先をチョンと指先でつかむと、人間の後ろ、遠くの曲がり角で兵士が集まり、話しをいるところを発見する。ちょうどいいや、俺は人間に聞き耳を立てるように促す。


「門は封鎖されたか!?」

「はい、先程連絡が入りまして、こちらの門は完全に封鎖されました!」

「よし、後は生き残りがいないかくまなく探せ! 一人も逃がすなとのご命令だ!」

「ハッ!!」


 俺の言いたいことを察した人間は、悲愴な表情を浮かべ身を震わせた。


「ゲへへ…もう、逃げ場なんてねぇぜ?」


 面白れえ反応するなあ。





「う、嘘だろ…こ、こんなところで、大体、魔王軍をかく乱するだけの簡単なお仕事じゃなかったのか!? こんな、まるでこれじゃあ」

「使い捨てのコマって感じだな、大体、そんな弱ェーのに良く騎士なんてやってんなぁ」


 俺たちは出会った回廊へと戻り、端で、小さくなりながら話をしていた。

 人間は小さく、というよりも頭を抱えてという感じだったが。


「私は弱くない、弱くないが…はあ……こんな奴が私の最後の記憶になるとは、はっきり言って最悪だ」

「なんだよ、出口までひとりで行けねーよーなヤツが弱くないとか、笑わせてくれるなあ、そんな態度じゃ助けてやんねーぞ」

「お前に言われたく…助けてくれのか!?」

「おいなんだその意外そうな顔は」

「い、いや私が破滅していくのを見るのが趣味なのかと…魔族ってそういうイメージだったから」


 こいつのイメージでは、さながら、魔王城は世紀末な感じだったんだろうか。


「まぁ少なからずそういう悪感情を好むってのも事実だけどよ、得になりそうだからな、オメーは、だいたい人間一匹逃がすのなんて俺には造作もねーんだよ」

「おぉ!! 本当かっ! 頼りにしているぞ! では早速」

「いやいや、誰も無償で何て言ってねーぜ、そうだな、俺を雇うってことはお前は弱いことは認めるんだな? 安心しろ、別に取って食ったりしねーよ」

「はいそうですッ! 私は小学生の頃から体育評価万年ドベの運動音痴いや、ウンチの軟弱もやしっ子でした! 階段を踏み外して骨を折ったことがありますッ! 持久走をすると何故か笑いが起きますッ! ダンスの授業は……オエッ思い˝出じだくあ˝りません˝」

「ケケッ、あー? よく分かんねーが、リアクションがおもしれーからいいや、んで、もう一つが」

「二つ要求するなんて聞いてないぞ」

「一つだけとも言ってねーぞ、つーかさっきのは質問だ、要求じゃねーよ」


 言わせたかっただけだ、大体、コイツを最初に襲った時、筋力では敵わないことはもう分かってるしな…。女に筋力で敵わないってのはどうかと思うが、そんなもの、ココでは山ほど経験してきた、だから別に傷ついてない、ホントだぜ?


「調子に乗りおって…」

「何かくれ」

「何かって」

「金目の物、価値があるもの、無ければ労働、知識、特大の悪感情…それすら無いんだったら……体で払ってもらおうかゲ―へっへっへ、言っておくが、足元は見てるからなあ命に代わるような代物を提供してもらおうか」


 そういうと、悪魔よりも悪魔らしいゲスな笑顔で、俺はあの尋常じゃない胸をこれでもかと凝視した。

 身の危険を感じたのか、サッと胸を隠す人間。


「り、利益があればいいんだな」

「ああ俺は魔物だ、得があれば喜んで手伝うぜ」

「くッ、その言葉違えるなよ」


 人間は肩にかけてある留め金を少しずつ緩め、きつく締めあげていた胸のプレートを外した。限りなく山地に近い巨大な二つの丘陵を震わせながら、その下に着ているインナーの襟ぐりに手を突っ込む。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る