オタク共!戦争の時間だ!!

白雪ミクズ

オタク共!戦争の時間だ!!

 とある国の者が言った。


「武力も然程ないであろうジャパンを攻めるぞ!!」


 日本は平和憲法があるため、兵役などもなく、武力としては強い国から見ればゴミのようなものかもしれない。


 今まで攻められなかったが、遂に立ち上がった者たちは愚かにも、日本を見くびっていたのだ。


 まさか、そんな国に負けるだなんて、夢にも思わなかっただろう。


 そう、ジャパニーズis変態。日本の経済の要である者たちは、武力でさえも持っていたのである。


「えー、緊急です。夏コミが〇〇で行われることとなりました。」


「ふむ、夏コミがまさか別の場所で行われるとはな。妹よ、向かうぞ」


「ちょっと待ってよお兄〜」


 夏コミ。オタクたちの至福の時であり、生きがい。好きなアニメのコスプレや漫画が集まり、好きな絵師に会うチャンスでもある。


 なので突然集まれと言われても集まるのがオタクの性とでも言うのだろうか。電車は混み合ったが、その場についた。


「えー、今回は武器が配られますのでご自由にどうぞ」


「ほう!気合いが入ってますな…!」


 この時点でおかしい者が数名いるのだ。銃のモデルや、刀や剣の名前を言っては喜び、リロードの仕方や強さ、構えについて話し合いをしていた。


「…にしたって八雲さん。夏コミに来たオタクを徴兵するよう仕向けるだなんて。何か考えがあるんですか?」


「…ふん、まぁ見てなさい。日本の本気というのを見せるのだ。」


 そう高層マンションから眺める彼らは、日本の防衛省のトップたちだ。


「まさか、他の国から突然武力行使をされてしまっては…穏便に解決できない。その点、サバゲーのイベントだということにすれば楽しかった、で終わるだろう」


「なんか詳しいですね…?」


「当たり前だろう。日本の人々は…殆どオタクだ。軽い重いはあるにしてもな。…もちろん、私もだ」


 そうカッコよく決めているが、実際に言っているのは私もオタクだよみんな仲間だ混ざりたいな、ということである。

 

 実際、隠れオタクやライトオタクも含めて数えれば日本人の殆どはオタクだろう。


「ほれ、もう攻めてきた」


 敵軍が一気に押し寄せる中、前線に当たり前のようにでる者がいた。それも数名ではない、何百という数だ。


「サバゲー上位ランカーの私が守ろう!」


「戦国ゲー上位ランカーの俺が指揮を取ろう」


「エーペックスで鍛えたエイム、見せてやるよ。」


 既に敵軍は驚いた。そりゃそうだ。どう見たって一般人の彼らが、武器をとり、司令を下し、一分の隙もなく、寸分の狂いもなくヘッドショットを狙ってくるのだ。


 敵軍の一兵卒は殆ど壊滅状態だ。


「なんだあいつらは!?…いや、さすがにスナイパーは…」


バンッ!!


「スプラトゥーンでは基本チャージャーだからなぁ…」


「もうっ、あなたはサーモンランもしてるんだからどんな武器渡されても平気なくせに!」


 なぜ、兵役もしていない一般人がこれほどまでにあらゆる武器を使いこなしているのか?敵軍には分からなかった。


「け、剣で対処せよ!!相手は銃ばかりだ!」


「あーらよっと。VRでは剣も使うんだよな〜」


「な、何ぃ!?」


 剣を使う部隊でさえもやられていく。敵軍の将軍は手に汗を握った。当たり前だ、何をしても日本人に潰されていく。


「!?あれは…子供か!?ジャパニーズは子供でさえも戦えるのか…!」


「ウェーイざーこざーこ!!フォトナ上位なんでwwwww」


 子供でさえも武器を取り、言語はわからないものの、煽られてることだけはわかる兵たちは次第に衰えていった。


「くっ、何故彼らは疲れないんだ!?」


「5徹に比べちゃ全然よ」


「俺は地方民だ、コミケに来る、帰る体力を忘れんな!!」


 少子高齢化といえども、老人ですら過去にやった戦国ゲームを思い出しては剣をふり、朦朧とした頭は冴えて司令官に助言をし始めていた。


「せ、戦車をだせー!!!」


「パパー、マリオカートのVR楽しいねぇドゴゴゴゴゴ」


 色鮮やかな車たちは戦車に体当たりをする。そう、惜しげも躊躇もなく。彼らは変態、それでいい。


「く、クソ…!一体奴らの力の根源は…」


「なんだあの曲は…!?」


「あれは…!ジャパンの今期のアニメソング、そして…ウマ娘!?」


 剣を振り回しオタ芸を披露する彼らに近づけるものはいるのだろうか?否、敵軍は後ろに下がる一方だ。


「くっ…撤退する!」


「む?イベントは終わったようだぞ。皆のもの!コミケの始まりだ!!」


 逃げ帰る敵軍、そしてイベントが終わったとコミケにまた一列にピシッと並び始めるオタクを見て、満足気に八雲は頷いた。


「終わりだ。死傷者は…ゼロ。向こうの国に急ぐぞ」


「は、はいっ!!」


 こうして日本は被害を免れ、またオタクたちによって経済は回されるのであった。ちなみに八雲は上から直々にお叱りを受けたそうな。

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