クラスのマドンナがラブホから出てきた

結城柚月

プロローグ

 昔から、「愛」をテーマにした作品は大嫌いだった。

 あんなメロドラマのようなものなんて、この世に存在しない。

 愛というものの本質は、もっと暴力的で、一方的で、独善的だ。

 受け止める方のことなんて何も考えてくれはしない。


 愛はエゴだ。

 結局自分の欲望を満たすためだけのものでしかなく、誰かを愛するから、誰かが傷つき、自分もまた傷ついてしまう。

 だから僕は愛が嫌いだ。

 誰かを愛することは、誰かを呪うことと同義だから。


 一方的に相手を支配し、蹂躙する。

 愛する方も、愛される方も、徐々に壊れていく。

 それが僕が知る愛であり、もはや病原体に近い存在だ。


 だから「愛」とか「LOVE」とか、そういう単語を街中で見てしまうと反吐が出る。

 愛なんて、そんな煌びやかなものばかりではない、と。

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