第50話 祭りは準備段階で盛り上がった方がいい

「よ、夜人くん同じ組なんだ・・・よ、宜しくね」


「あづみちゃんも白組なんだね。うん、宜しく」


そう、俺と零の仁義なき戦い(ジャンケン)は俺の敗北により勝負は決した

やっぱり俺様がレッドバンプだと大喜びしている零を静かにさせるのが大変だった


「よ、よよよ夜人くん。わ、わわわわ私も白組ですぅぅ」


「おぉ、雪ちゃんもか。うん皆で頑張ろうね。」


どうやら雪ちゃんも白組になったみたいだな・・・

これは零と雪ちゃんのお母さんもどちらかに肩入れできなくて大変だろうなぁ・・・等と遠い目をしてしまう


因みにこの2年間で如実な変化があった事の1つに雪ちゃんが零と雪ちゃんのお母さんと仲良くなっている事があげられる


2年前からの心境の変化なのか、零が『ママに怒られた~』と嘆いていたり、雪ちゃんが『ママと一緒にご飯を作った』と嬉しそうに話していたりするのだから、零に必要以上に気を遣わずに仲良く生活出来ているんだと思う

あの日以降、零は雪ちゃんやお母さんを下僕って言わないしね


・・・因みに若葉さん(護衛官)の人は麗さんと一緒に普段は陰に潜んでいる為に識別しにくい


「私も」


「夜人くん、私も白組だよ」


「白組で良かった」


クラスの他の子たちも俺に報告してくれる

皆、優しいね・・・

零と同じ組になりたかった子もいるだろうに、俺に気を遣って嫌な顔などせずに報告してくれる当たり、彼女たちの優しさが身に染みるよ・・・


「くっ・・・夜くんと敵対しなければならないなんて・・・でも勝負は勝負、僕は夜くんに勝つ!!」


「夜人と雪が白組か・・・2人まとめてレッドバンプである俺様が倒してやるっ!!」


「蓮華ちゃんと零くん」


いつの間にやら白組である俺達のテーブルに蓮華ちゃんと零がやってきた

しかし、蓮華ちゃんと零か・・・Rコンビとでも名付けようかな?R2の方が良いかな?という考えが一瞬頭をよぎったが、蓮華ちゃんがマジで怒りそうな気がするので自重しておこう


「ふ、ふんっ!!運動会は夜人くん率いる白組の勝ちよ!!」


「お、おおおお兄様にもよ、夜人くんは・・・ま、負けないですぅ・・・」


ちょっ!!!

相手の挑発にのって俺を巻き込まないでもらえます?!

率いてないし、零に対抗意識持ってないしっ!!

おいっ!!後方から「そーだそーだ」と囃し立てるの止めてっ!!

皆でワイワイ出来れば俺はそれで良いから!!


「良いだろう・・・誰が夜くんに相応しいかをこの運動会で教えてあげるよ」


「蓮華ちゃんとは言え手加減しないからね?」


「雪・・・兄に勝てる妹などいないのだっ!!」


「お、おおお兄様をこ、こここのう、ううう運動会でこ、超えます」


「ちょっと待ってっ!!僕は皆で仲良くやりたいから!!!」


俺の必死の懇願は華麗にスルーされ、バチバチバチと園児らしからぬ火花が互いに散っていた


(こうなったらっ!!)


藁にも縋る思いで茎中先生へ視線を向ける

・・・が、茎中先生は苦笑いをしているだけで止めようとしない

何でだよ?!!

教室の空気が物凄い殺気だってるのに、何で止めようとしないんだよ?という俺の心の叫びを聞いてくれる人は誰も居なかった・・・

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