第49話 手玉にとるのも意外と難しい
「はいそれでは零くんと夜人くんは2人でコッソリとどちらが紅組でどちらが白組か決めてくださいね~」
「はい」
「おう」
先生に言われて俺は席を立つ
・・・が、零のやつはポカンとした表情で席を立つ素振りも無い
「零くん、行くよ」
「え、何処へだ?」
察し悪うぅぅぅーーーーーーーーーーー!!!
いやまぁ・・・5歳児にちゃんと説明せずに空気を読めと言われても無茶ぶりだよなぁ・・・
「廊下だよ。俺と零くんは廊下でどっちがどの組になるかを決めるんだ」
「ん?だったら俺はレッドバンプと同じ紅組が良いなっ!!」
マジで察し悪うぅぅぅーーーーーーーーー!!!
お前がそんな事言っちゃうと、皆が紅組を希望しちゃうじゃん?!
そしたらハズレ引いた白組の空気最悪じゃん?!!
ちょっとは俺の事も考えてくれませんかねぇ?!
「いや・・・僕も紅組が良いから・・・向こうでジャンケンでもしようよ」
「よし、だったら今此処で決着をつけてやるっ!!夜人、勝負だっ!!」
「もおぉぉぉぉーーーーーーーーー!!兎に角向こうで勝負っ!!」
本当に子供との意思疎通って難しいよね、フゥ(5歳児談)
取り敢えず、半ば無理矢理に零を廊下へと誘導し、教室からは見えない視覚へと移動する
「よしっ!夜人、どっちがレッドバンプなのか勝負だっ!!」
「おおー・・・負けないぞぉ・・・」
どっちでも良い・・・正直、俺はどっちでも良いんだ
けど、此処で零に「お前の方がレッドバンプに相応しいよ、フッ」とか言うのも違う気がする
兎に角さっさとジャンケンでもして紅でも白でも良いから決めてしまおう・・・
◆
◆
「はいそれでは皆は自分が紅組と白組のどちらか分かっていますか~?」
「「「「「は~い」」」」」
あの後熱戦(?)を繰り広げた俺と零は、アルパカ組の教室内を覗き見た後、タイミングを見計らって室内へ入った
因みに、覗き見る行為もスパイごっこだ何だと理由付けが必要だったよ・・・
「では今からお昼ご飯の時間まで紅組と白組に分かれて、誰がどの種目に出るかを決めてくださいね。もしお昼ご飯までに決まらなければ、お昼ご飯の後に決めても良いですからね。」
茎中先生はそう言いながらアルパカ組の皆がでる種目と人数をホワイトボードに書いていく
種目は・・・ふむ
・玉入れ(6にん)
・リレー(4にん)
・借り物競争(4にん)
・大玉転がし(6にん)
・アスレチック競争(4にん)
となっている
(この中だと・・・借り物競争かアスレチック競争かなぁ・・・)
絶対にコレが良いというものは無いが、強いて言えばである
3歳児まで引きこもっていた反動か、意外にも俺は身体を動かすのが苦ではない
だから別にどの種目じゃないと嫌だみたいなのは無いし、そもそも5歳児に交じって精神年齢30歳のおっさんが駄々をこねる気も無いのだ
「はい、それでは紅組のみんなは窓側へ行って、白組のみんなは廊下の方へ行ってくださいね。」
茎中先生の号令の元、皆が一斉に動き始める
はてさて誰が同じ組かな~等と思いながら、ちょっぴりワクワクしたのは内緒だ
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