第30話 謝るべき事はちゃんと謝る・・・それが難しい人もいる
「雪ちゃん、ごめんなさいっ!!!僕、雪ちゃんのお家に行く事の理由を知らなかったんだっ!!!」
次の日、俺は雪ちゃんに会うや否や真っ先に謝罪する
雪ちゃんには勘違い&無駄な労力を強いてしまった
俺自身は今現在、雪ちゃんと結婚を前提にした交際をする気は無い
目的は飽くまで雪ちゃんのお兄さんだったのだ
「え、ええええ、えええ・・・」
俺が雪ちゃんに頭を下げるとクラスが騒然となる
そしてただでさえ引っ込み思案っぽい雪ちゃんは困惑した表情を浮かべていた
だからこそ俺は雪ちゃんに謝った訳をちゃんと説明する事にする
「前に雪ちゃんのお家に行きたいって言ったよね」
「う、うん・・・」
「あれからお家に帰ったらお母さん(達)に怒られたんだ。軽々しく女の子のお家に行くべきじゃないって・・・本当にごめんなさい」
「う、うううううううん・・・・」
やたらめったら『う』が多いのもご愛嬌だろう
心の中では若干ツッコみつつも、ちゃんと謝罪する
「お兄さんは・・・何か言ってた・・・?」
「お、おおお兄様は・・・嫌だって・・・ご、ごごごめんなさい」
「ううん。僕が我儘言ったから・・・雪ちゃん、ごめんなさい」
「こ、こここここっちこそ・・・ほ、本当にごめんなさい」
「いやいやいや・・・嫌な気持ちにしたのは僕だから・・・本当にごめんなさい」
そう言い合っているとお互いにごめんなさい合戦が始まりだす
5往復ばかりした所でお互いに変だと思ったのか顔を見合わせて苦笑してしまう
うん、保育園児はこう言う無邪気な感じが良いよね
ごめんなさいと言えたら仲直りできるかの様な、さ・・・
それから俺は自分の席に戻って考え事をする
雪ちゃんのお兄さんに断られたのは残念だが・・・元々こちらの我儘みたいなもんだ
潔く諦めて小学校で会える男の子を楽しみにしておこう
それはそれとして俺に今必要なのは友達だ
クラスのみんなともそれなりに仲良くは出来ているかもしれないが・・・大人の悪い癖なのか、俺が一歩引いておりそれなり感が拭えない
出来れば男女関係なく親友という様な間柄を築ける子が欲しいものだが・・・
「よ、よよよよ夜人くん・・・」
「ん?雪ちゃん、なぁに?」
「あ、ああああのあのあのね・・・」
「うん」
「こ、こんこん今度の日曜日・・・ぼ、ボウゲンジャーのひ、ヒーローショーがあ、あるの」
「ふんふん」
成程、俺の絵と悪役幹部が似てるやつね・・・ってやかましいわっ!!
セルフボケ、セルフツッコミを入れながら相槌を打つ
こういう時は急かさずに相手の言葉を待つのが基本だ
「お、おおおおお兄様は・・・ぼ、ボウゲンジャーがす、好きで・・・き、昨日ヒーローショーに行きたいって・・・ママに言って・・・行く事になった、の」
「おぉ!!」
詰まり俺もボウゲンジャーのヒーローショーに行けば、雪ちゃんのお兄さんに会えるという事だ
しかも相手も男なのだから親御さんと麗さんの様な家政婦さんが居る訳だからリスクは少ない
ついでに外でバッタリ会う分には結婚前提云々もない訳だっ!!
「雪ちゃん、有難う!!行けるかどうか分からないけど、僕もお母さんに聞いてみるね!!」
「っ!!う、うんっ!!!」
良い事を聞いた・・・
早速家に帰ったら母さんたちに相談しようと思いながらウキウキとした気分で朝礼を待った
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