第18話 やっぱり慣れって怖いわ・・・
吾輩は八剱 夜人である、名前は夜人である
夏目漱石のあの出だしは何であんなに有名なのかな~?等と考えながら車に揺られて保育園に向かう
昨日は家でテレビを見て1日の大半を消費したので特筆すべき事が無い
細かく言えば珍しく月姉さんが帰宅後に手を洗わずに俺に突撃しようとして麗さんに制止された事があったのと、麗さんがリストアップした道場の資料を母さんが検討していた事くらいかな?
「夜人くん、何を考えているの?」
「ん~?今日は保育園だなぁ~って」
「夜人くんが嫌だったらお休みしても良いんだよ!!」
姉よ・・・何故そんなに身を乗り出して休む事を進めて来る?
残念ながら俺には保育園に行くという事に対し嫌だと言う感情は無い
どちらかと言うと家でボーっとしているよりは健全でメリハリがある分、保育園の方が好きまである
「ん~でも別に嫌って訳じゃないし、保育園だと月お姉ちゃんとも会えるからね」
「ほんとっ?!・・・でも他の子が・・・ムゥ~・・・」
喜んだかと思えば、思案しだして不貞腐れる
本日も我が家の天使は最高だなっ!!
「夜人様、月様、あと少しで保育園に到着いたします。靴を履いてご準備をお願いします。」
「「はぁ~い」」
運転席の麗さんに促されて俺たちは車を降りる準備をする
因みに話が変わるが、今俺が乗っている車は高級車ではなく、一般的に普及しているスポーツワゴンの車だ
高級車に乗る=男が乗っているとはならないが、高級車に乗る=金を持っているとなり易いこの世界で俺がわざわざ高級車に乗るメリットは何一つない
ただそれは外装だけの話で、室内や装備は一般的な物とは異なる物を積んでいる
先ずは窓、コレは総理大臣等も使用するスモーク型の防弾ガラスを採用している
しかもそれだけではなく車のボディ部分も銃弾が貫通されない様に技術を施されているそうだ
となると車体は重くなっている為にエンジンも組み替えられているだろう
それ以外は聞かされてはいないが、他にも様々なオプションが付随されているとの事なので外見の見かけは兎も角、中身は普通車とは明らかに一線を画す車だという事だ
そんな車に乗せられて到着したのは1日振りの【聖アナジア保育園】
いつも通り麗さんが先ず外に出て周囲を確認後、僕らが座る後部座席の扉を開けて来る
いや、俺は男だから誘拐される可能性はあっても狙撃される可能性は無いと思うんだけど・・・
まぁ形式的に大事な事なんだろうと自分の為に納得して外に出る
「「「「夜人くん、月ちゃん、お早うございます!!」」」
「せ、先生おはようございます・・・」
「お早うございます!!」
いや、先生方が並んでんじゃん!?
何?何で並んでんの?俺お大臣様になっちまったの?
心の中で動揺する俺とは違い、月姉さんは先生方に元気よく挨拶している
だが・・・
「せんせぇおはようございま~す!!」
「琳ちゃんおはようございます!!」
「日迎ちゃんお早うございます!!」
「せんせ、おはよ。」
先生方は俺だけでは無く次々と登園してくる園児たちに気さくに挨拶をしている
その瞬間、俺は察したね
あ、コレ挨拶運動かなんかの恒例行事だわ・・・と
それと同時に痛烈に反省した
自覚のない所で俺は俺が男である、特別扱いされているという事が自然になりつつあったんだ、と・・・
家に居たら間違いなく自覚できない出来事と登園早々に出くわして、反省と同時にやっぱり家に居るだけじゃダメだなと初心に戻る事に成功した俺は、先ほどと打って変わった心境で門を潜った
・・・だがまぁそれはそうとして女児や女児の母親の視線は異常な程に感じたけれど、ね
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