悩める君と悩める僕と

ブランコが揺れている

小さく小さく揺れている

君はうつ向き目を閉じて

考え事をしているよう


明らかに落ち込む姿

失敗したのか

間違えたのか

怒られたのか

聞こうとしたけどやめておいた



君は自分のことを尋ねられることを嫌う

詮索されることが不得意で

僕があれこれ聞いたとしても

「何でもない」と言うだろう

そう返して 後悔して

そう返すことしかできない自分に

余計に落ち込むだけだろう


僕はただ 隣に座って

缶コーヒーを渡した

びっくりする君に言う

「ブランコなんて久々だ」

君は少し笑って

缶を開け ごくりと喉に流した



「どうしたの?」

たったその一言が聞けない

何だかんだと理由をつけても

結局は 僕自身が

拒絶されるのを怖がっているだけ


真剣に 問い質せば

君は教えてくれるかな

うつ向いて

口をぎゅっと結んで

涙を堪える理由を


ただ 今の僕には 勇気がない

「何でもない」と一言で返されたら

落ち込む君の前で

笑顔を取り繕える 自信が無いんだ





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