煙の香りのついた服

私の手は真っ赤に染まっている

普通の手に見えるだろう

もしかしたら

綺麗な手に見えるかもしれない


違う 違うんだ

私の手は

ごくごく普通に見えるこの手は

どれ程の命をかり取ってきたか


でも 仕方ないことなのだ

私は守らなければならない


我が身を

そして私の大切な者達を


無益な殺生はしたくない

だからどうか

我が家に侵入しないでくれ


毎日祈る

そして祈りが届かなかった夜

どこからともなく

侵入者が姿を見せた



無益な殺生はしたくないというのに



私はため息をつき

躊躇い無く

蚊取り線香に火を灯した


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