第4話 温海とのプール

受付で温海から貰った無料クーポンを使って施設の中へ。

温泉がメインであるが、スポーツジムとプールも併設している。

プールは屋内プールにしては結構広い。

水着もレンタルなので、持ってなくても大丈夫。

無料クーポンを貰ったけど、受付で値段を見たらすプールと温泉を両方使うと

2200円と結構高かったからハンバーガーといい、なんか悪いな。


「思ったより高いよね」

「総合施設だからこんなものだと思うわよ。2200円で温泉、プールに入れて

スポーツジムも使えるし、1日居られるからそうでもないわ」

「それなら安いか」


温海から貰ったクーポンは全施設使えるのでかなりお得。

会員になってポイントが貯まると貰えるけど、全施設の無料クーポンを

貰うにはかなりのヘビーユーザーってことかな。


「このクーポン貰うんとなると、かなり大変じゃない?」

「家族やグループ全員分のポイントを1つのカードやアプリで貰えるから実は貯まりやすいのよ」

「そうなんだ、結構良心的なシステムだし、太っ腹」

「多少損をしても、リピートしてくれたほうがいいのよ」

「なるほど、勉強になる」

「こんなの基本よ」


温海はそういいながらも、ちょっと得意げなのがいいな。

そして、それがまたかわいい。


「さ、プールへ行くわよ」

「そうだね」


プールへ向かうけど、水着はレンタル。

サイズは一通りあるのでいいとして、思ったより沢山あるが

偶然目に入ったブルーの花柄のビキニがいいと思ったのでこれにした


「わたしはこれかな」

「もう決めたの?あたしはまだ決まらないわ」

「温海って意外と悩むタイプ?」

「そうじゃなくて……」


温海の目線が自分の胸元に向けられたけど……ああ、そういう事か。


「別に気にしなくてもいいんじゃ」

「気にするって言うか……小学生と間違えられるのが嫌なの」


なるほど、そっちね。

なので、出来るだけ大人っぽくって思ってるらしいけど

温海の体形だとどうしても子供ぽいものになるかな。


「一通りみたけど自分じゃ選べないわ。文乃はどれがいい?」

「どれがいいって言われても……」


正直、温海はスクール水着が一番似合いそう。

もちろんスクール水着はないけど、紺に白ラインの入った

ワンピーズタイプがあるからこれでいいんじゃないかな。


「これでいいんじゃないの?」

「悪くないけど、なんかひかっかる……」

「温海はこう言うタイプのが似合うと思うんだ」

「そういうなら、そうするわ。悩んでいても時間の無駄だし」


温海はその水着に決めたが、あまり納得はしてない様子だった。


 水着に着替えて、プールへ。

屋内プールではあるが、案外広く、大小のプールにスライダーもある。

さらには競泳用のプールもあるので、本格的に泳ぐことも可能。

夏休むなので混んでるかと思ったけど、ちらほら高校生や大学生と思しきグループはいるけど駐車場は混んでたけどプールは程よいぐらいと言った感じかな。


 軽い準備運動をして、プールに入る。

外が暑かったから、やはりプールは気持ちいい。

ただ、温海はプールサイドで足をつけるだけで入る気配がない。


「温海も入りなよ、気持ちいいよ」

「わかってるわ。でも……」

「でも?」

「こっちだとちょっと深いのよ……」


どうやら、こっちだ足はつくがぎりぎりらしい。

わたしの首のたりまであるから深さは140㎝ぐらいってところかな。

温海の身長だと確かにちょっと深い。


「ちょっと深いけど、大丈夫だと思うよ」

「そうだけど、以前足がつかなくて失敗したからあまり入りたくないのよ……」


どうも、以前に失敗した事があるらしいからあまり気が進まないらしい。

気持ちはわかるけど、せっかく一緒に来たんだから一緒に入りたいし

浅い方プールは子供用だから、温海が入ると……いや、なんでもない。


「わたしの方に捕まってればいいよ」

「それはそれで恥ずかしいし……」

「わたしは恥ずかしくないから大丈夫」

「そう言う問題じゃないけど……」

「せっかく2人で来たんだから、2人で楽しもうよ」

「……わかったわ」


仕方なく温海がプールに入ると、わたしの肩に捕まると

小さいながらも、温海の胸が背中に当たるが……何も感じない。

いやらしい気持ちはないけど、かといって何にも当たらないのはなんか寂しい。


「文乃、なんか残念って思ってない?」


温海もわたしががっかりしてる事を感じたようだ。


「残念ってなにが?」

「いや、何でもないわ」

「温海さん、何を考えていたんですか?」

「だからなんでもないわよ、ほら前に進みなさい」

「わかりました、お嬢様」


温海が肩につかまりわたしがプールの中を歩くが、何だろうこの状況。

なんか想定したのと違うと言うか、肩に捕まってたらこうなるか。

ちらっと、後ろを見ると、温海はこれはこれで楽しいようだ。

一応、温海の誕生日イベントだし、本人が楽しいならいいか。


 プールの中をこの状態で2周ほどしたけど、水の中を歩くのは結構疲れる。

それに、わたしが求めてたのはこういのじゃなくて、キャッキャウフフと

ポロリ……はさすがにないとするか、この場合ポロリをするのはわたし方だけど

とにかく、これじゃ親戚の子の泳ぎの練習に付き合ってるみたいだよ。

もっとも、こうしようと言ったのはわたしだけど。


「温海、流石に疲れたから休憩しよう」

「そうね、文乃は水の中を歩ているから疲れたでしょ」

「疲れたというか、なんというか……。身体が冷えたから一旦出たい」

「わかったわ。わたしもなんか疲れたから、背中に捕まるわ」


温海がそう言って、背中に捕まるけど当たるの何となくふくらみはわかる程度。

あと、こういう場面では何故かホックが外れてポロリがあるけど

現実でそんな事起こらないし、起こったらむしろこっちが困る。


「なんか、年下の親戚のをおぶさってるみたい」

「文乃は年下の親戚がいるの?」

「いるけど、まだ2歳や3歳だから、親戚が集まったら実質わたしが年下」

「そうなのねって、文乃の誕生日はまだから、一応あたしの方がお姉さんだけど」

「お姉さんっていっても、3か月だけだし」

「それでも、3か月はあたしの方が年上に変わりないわよ」


私の誕生日は11月21日なので、3か月とちょっとだけど確かに温海の方が年上だけど

それを言ったら3人の中で一番誕生日がはやい夕が一番のお姉さんって事に。

夕ならいろんな意味でお姉さんだけど、温海は末っ子って感じって実際末っ子だけど。


「温海は末っ子タイプだよね……」


わたしがぼそっとつぶやく。


「何か言った?」

「なんでもないよ。とにかく一旦プールから出よう」

「そうね」


何とか誤魔化したが、身体が冷えて来たのは本当。

そこそこのサイズのプールを2周すると、それなりに時間がかかるので

暑いとはいえ、さすがに冷えて来た。


 プールから出て、休憩用のチェアーで横になる。

普段は通学以外に運動らしい運動は家から片道20分のスーパーまで買い物に行く程度なので水の中を歩いたら、いい運動になった。


「文乃と2人だけど、楽しいわね」

「なんか引っかかる言い方かな」

「ごめん、そういう意味じゃないけど、常に夕と一緒だったから文乃と2人で

いるのも新鮮かなって思っただけよ」

「わたしも同じだよ。さっきも話したけど、温海と意外と話が合うみたいだし」

「さっきは結構話してるって言ったけど、実のところ文乃と2人だと会話が続かないってあたしも思った。

だから、会うまでは心配だったけど、杞憂だったみたいね」


どうやら、温海も本音はわたしとの会話が続かないかと思ってたらしい。

実際は夕と同じぐらい会話をしてて、何でも話せることがわかったけど

夕がいたらやっぱり、夕と話しちゃうんだろうな。

だらか今日は温海と2人になれるいい機会。


「夕がこれなかったのは残念だけど、温海と2人になれるいい機会だったかな」

「そうね。文乃と2人になれるいい機会だったわ」

「わたしと温海の仲は夕がいるからって思ってけど、そうでもなかったかな」

「実はあたしもよ。夕がいるからって思ってけど、実はちゃんと親友だったわね」

「そうだね。これからもよろしくね」

「なによ改まって。でも、よろしくね」


なんかいい雰囲気になって、この流れならキスしてもよさそうだけど

残念ながら周りの目もあるし、夕にもわるいからしないよ。

夕ならキスしても許してもらえそうだけど、キスつもりは最初からないからね。

キスしたら関係性が変わりそうで怖いのもあるけど。


 この後、プールでさらに1時間ほど遊んだが、身体が冷えて来たのでプールからでる。

暑いから涼みに来たけど、思ったよ冷えたので今度は

冷えた身体を温めたいので温泉の方にも行く事にした。

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