【速報】河川敷で謎の生物を保護したんだが、、、

レイ

第1話 未知との遭遇

「ビーッビー、ビーッビー」

聞こえてくる音に嫌悪感を覚えつつも、指がまるでそうプログラムされているかのようにスマホに吸い寄せられる。

「んーっ、ふぁーー、、」

いまにも閉じそうな瞼をなんとか開け、起き上がると洗面所へ向かう。

やっぱり深夜まで本読むんじゃなかった。

寝起きが最悪だ。

ほぼ無意識で蛇口をひねり、顔を洗う。

冷たい水が顔に当たると、ようやく目が冴えてきた。

買ったばかりのタオルで拭き、保湿する。

友達に「今は男子もスキンケアする時代だぜ」と綺麗な肌を見せられながら言われた時は急いで化粧水と乳液を買ったのを思い出しつつ、歯もしっかりと磨く。

リビングに戻ると、そこには誰もいない。

少し嬉しさを覚えながら部屋を見渡すと、壁にかけていた時計が目に止まった。


ー8時10分ー


「やべっ?!」

さっきまでの動きが信じられないほどの速度で着替え、パジャマを放り投げる。

リュックに財布と奇跡的に残っていたカロリーメイトを突っ込む。

机の上の鍵を取ろうとダッシュで駆け寄るが、

「いでっ!」

パジャマを踏み、思いっきりコケる。

めちゃくちゃ痛いが今は気にしてられない。

「あー、もう最悪だ!」

半ば叫びながら、僕は家を飛び出した。


僕の名前は小田浩介(オダ コウスケ)。この春、高校生になったばかりである。

今は一人暮らし。いや、親が死んだとかそういうのじゃない。

親に一人暮らしをしたいといったら、ここにいったら考えてやると偏差値75の高校を提示されたので、中学2年間を犠牲にして勝ち取っただけだ。

まさか本気でやると思わなかったと親にドン引きされたがな。

中学では楽しめなかった分高校でエンジョイしてやろうと思っていたのに、入学4日目でこれである。

僕は馬鹿かもしれない。


自転車を爆速で漕ぐ。

警察官に見つかったら止められるんじゃってぐらい。

なにせ1限が入学式でも威圧感半端なかったあの佐藤だ。

遅刻したら殺される。

言い訳を考えながら、僕は必死に漕いだ。

『間に合えぇぇぇーーー……』


結果、タイムオーバー。

佐藤にしっかりと怒鳴られ、クラスの笑いものになった。

言い訳?

言おうとしたら、「先生、言い訳なんて聞きたくありません」で一蹴された、、。

女性であの迫力は反則だと思う。

机に突っ伏して落ち込んでいると、聞き覚えのある声が聞こえた。

「おーい浩介、大丈夫かー?笑」

「大丈夫なわけないだろ、、、」

「ハハ しかし珍しいな、浩介が遅刻とか」


こいつは相葉優太(アイバ ユウタ)。いわゆる陽キャというやつで、スクールカーストの頂点にいる。ぼくとは小学校からの幼馴染だ。ゲームが好きで、熱中するとそのまま朝を迎えることもしばしば、、、らしい。

(僕はゲームしないからよく知らないが。)


「1個目のアラームで起きたと思ったら、4個目のアラームだった、、、」

「それはドンマイだな」

「逆になんでお前遅刻してないんだよ、僕より寝るの遅かったはずだろ」

そう、僕が寝る前にディスコードを見た時、こいつはオンラインだった。

つまりこいつも遅刻してないとおかしいのだ。

「だって俺寝てないし」

「お前、オールで学校とかやばいことしてるって」

「大丈夫大丈夫、エナドリあるし」

「それ大丈夫って言わねー」


キーンコーンカーンコーン

チャイムではっとする。

『うそ、もう二限?!体力もたないって、、、』

「はい、お前等席つけー」

「やべっ、じゃ!」

相葉が席へ走っていく。


今日は何やってもだめな気がする。

そんなことを思いながら僕は数学の教科書を広げた。


予感は見事的中。

当てられた問題を間違え、掴んできた財布に200円しかなく昼食は抜き。

部活では、操作をミスってコードをクリアした。

今、僕は疲れた心を癒やすため、河川敷で座り込んでいる。

この時間、ここに来る人はだれもこないので、好きなのだ。

「はあー」

『にしても夕方の河川敷とはこんなに綺麗なのか』

オレンジ色に光る夕日が綺麗なのは言うまでも無いが、川がその光を反射して宝石のようである。

しばらくぼーっとしていると、横の草がガサガサと動いた。

『あー、猫でも来たかな。僕何も持ってないぞー』

そう思いながら横を見た。

「、、うわぁぁっ!」

一瞬、思考回路が停止した。

そこにいたのは見たことのないものだった。

体はまるく、透明だが全体的に水色掛かっている。

黒くて丸い目のようなものが2つ付いている。

それだけの謎のものが。

「なんだこいつ?! 、、、ちょっとかわいい?」

そいつも僕に気づいたらしく、僕に飛び込んできた。

「うおっ!」

僕のお腹の上で楽しそうにぴょんぴょんはねている。

「なんなんだ、まじで、、、」

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