M(マグニチュード)7.9
口羽龍
1
2023年8月の事。学は都内に住む大学生。学は東海道本線を走る長い近郊型電車に乗っている。学は東京から乗ってきたが、ここまでくると乗客はぐっと減った。
今日は国府川(こくぶがわ)の集落の近くでスキューバダイビングをする予定だ。長い夏休み、学は趣味であるスキューバダイビングを楽しもうとしている。もうすぐ夏が終わる。だけど夏休みはやっと折り返しを迎えようとしている。夏休みはこれからだ。まだまだ楽しいことをやろう。
電車は海沿いの崖の上を走っている。とてもいい景色だ。学はボックスシートからその眺めを見ている。もう何日も晴れの日が続いている。暑い日々が続いているけど、徐々に猛暑といえる程ではなくなってきた。そして、徐々にではあるが、秋の気配がしてきた。
海は今日も穏やかだ。遠くでは船が行き交い、海水浴場の付近では水着姿の人々を多く見かける。彼らは楽しそうに泳いでいる。
学はスマホで時間を確認した。もうすぐ国府川駅に着くころだ。車内のアナウンスでもそれを知らせている。車内には少し人が乗っているが、それに反応している人は全くいない。彼らは国府川駅で降りないようだ。
「もうすぐ着くな」
電車が近づき、電車はスピードを落とした。ホームで待っている人は1人もいない。関東とはいえ、ここに住む人々は高齢化が進んでいて、徐々にではあるが人口が少なくなっているという。
電車は国府川駅に進入した。乗る人はおらず、降りたのは学ぶだけだ。幹線ではあるが、とても寂しい駅だ。駅は無人で、何かがあったら別の駅からインターホンで駆け付けるという。
「着いた! ここが国府川駅か」
学は一息をついた。東京からここまでやってきた。とても疲れた。だけど、これからスキューバダイビングをするというのに、疲れたとは言っていられない。
毎日暑い日々が続いている。今日も日差しが強くて暑い。一体いつまでこんな日々が続くんだろう。だが、昨日に比べればましかな?
学はIC乗車券をタッチして、駅舎の外に出た。駅舎は古めかしい。いつ頃からの駅舎だろう。だが、学はあまり興味がないようで、すぐに駅舎を後にした。
学は国府川の集落を歩いている。関東なのに、ここは閑散としている。とても信じられない。だが、不便なところだから、しょうがないのかなと思った。
学は下り坂を歩いている。その先に海がある。ここは絶好のダイビングスポットだ。歩くたびに、胸が高まってくる。どんな風景があるんだろう。とても楽しみだ。
しばらく歩いていると、短いトンネルが見える。その先には海が広がっている。とてものどかな風景だ。海の上をカモメが飛び交っていて、時々鳴き声が聞こえる。
学は短いトンネルに入った。トンネルは古いレンガ積みで、とても美しい。何年前に完成したんだろう。とても気になる。
トンネルを出ると、すぐにT字路だ。目の前にはカーブミラーがある。どちらからも車は来ていない。
「ここを右、と」
学は右に向かった。その先にも海が広がっている。その先がダイビングスポットだ。それは、国府川駅の下にある。海沿いの道を歩いている人は全くいない。この辺りには人家がない。昔からここには人がいないようだ。寂しい道だ。
しばらく歩くと、国府川駅の下にやってきた。ここがダイビングスポットだ。そこには誰もいない。普段はけっこういるはずなのに。今日は何らかの理由でみんな来ていないんだろうな。
「これがスキューバダイビングのスポットか」
早速、学は準備を始めた。ウェットスーツを取り出し、素早くウェットスーツを着る。周りには誰もいない。
「さて、始めよっか」
学は海に潜り始めた。海はとても美しい。様々な魚が泳ぐ。とても幻想的な世界だ。とてもこの世とは思えない。やはりここは注目のダイビングスポットだな。
と、学はその途中であるものを見つけた。それは、朽ち果てたホームの跡だ。こんな海の中にホームがあるなんて。いつの時代のものだろう。もともと地上にあったもんだろうか? とても気になる。
「ん?」
学は気になって、それに近づいた。よく見ると、駅名票も残っている。『こくぶがわ』と書いてある。まさか、ここにも国府川駅があるとは。じゃあ、今、崖の上にある国府川駅は何だろう。あの国府川駅は2代目で、初代はここだろうか? どうして初代のはここにあるんだろう。何らかの災害でここに没したんだろうか?
「どうしてこんな所にも国府川駅があるんだろう」
スキューバダイビングを終え、学は帰り道を歩いていた。今日もよく遊んだ。楽しかったけど、今日は終わりだ。また来よう。
そんな中、学はある事が気になっていた。それは、海の中にある国府川駅の事だ。何があって、海の中にあるんだろう。
「今度、国府川駅を調べてみよう。何かわかるかもしれない」
学は国府川駅の事が気になった。どうして海に国府川駅の跡があるんだろう。
学は帰り道を歩いている。とても美しい海が広がっている。夕方になると、泳いでいる人々は少ない。もうみんな家に帰ったんだろう。とても寂しい風景だ。
「きれいな海だな・・・」
学はトンネルに入る。その先には国府川駅がある。ちょうどその時、国府川駅を長い貨物列車が通過していく。貨物列車は大きな轟音を立てて走り去る。ホームには誰もいない。次の電車はあと少しで来る。だけど、間に合わない。まぁ、いいか。明日は休みだし、次の電車で十分だ。のんびりと帰ろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます