【朗読あり】隣の空き部屋 後日談

武藤勇城

↓本編はこちらです↓

後日談 1

 先月『隣の空き部屋』というホラーを描きました。あれから約三週間の間に不可解な出来事が起きましたので追記します。前作をまだ読んでいない方は、先にそちらからご一読下さい。


 ここからは、前作をお読み頂いているものとして話を進めていきます。前作の最後で、七年ぶり二度目の金縛りに遭った話をしました。その際、寝ていたのにトイレのドアの前に立っているような、不思議な感覚があったと。それに関連する話です。


 最初の異変は、いつ頃だったでしょうか。正確には分かりませんが、多分、二度目の金縛りがあった直後、七月中旬だったと思います。トイレに行こうと思ってドアの前へ向かうと、小窓から明かりが漏れていました。一人暮らしですから、自分以外の誰かが使っている可能性はありません。なので「あれ? 電気を消し忘れたかな?」と思ったんです。


 その翌日か、翌々日か。トイレに行こうと思ったら、またしても電気が点いていました。「また消し忘れた?」不審に思いつつ、その時も特に気にしませんでした。スリッパを買い替えたばかりで、履く時、脱ぐ時など、従来とは少し違う動きになりますから、それに気を取られて電気を消すのを忘れたのでしょうか。


 ところが、それから僅か三週間ほどの間に同様の出来事が、十回はなかったと思いますが、五回以上も起きました。「さすがにおかしい!」今までの人生の中で、うっかりトイレの電気を消し忘れていた事が、一度や二度はあったと思います。しかし数える程でしょう。それが僅か三週間で何度も起きたのですから、異常と言わざるを得ません。

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