人格のオルヴァ

くーちゃん

序章

西暦二XXX年、アッサド国の軍事基地に2名の新たなパイロットが生まれる。だが、あまりに男にしては紺色の髪、華奢で眼帯をしている謎の一名と、茶髪でオレンジの瞳でサングラスを頭に乗っけて舐めた態度の一名だった。このアッサド軍の隊長である白髪で茶色の瞳のアッカド・ナルシーは頭を抱える。何故にこの二名が採用されたのかを。

「……カドルク・マルベル、私を侮辱しているのか?」

茶髪の男はカドルク・マルベル。カドルクはやれやれと言う顔をして、薄茶色のサングラスを頭から外し、ポケットに仕舞う。

「これでいいですかい、アッカド隊長よ」

「……そして、エドナ・アルバーキー、君は何故、眼帯をしている、それで操縦できるというのかね?」

紺色の髪はエドナ・アルバーキー。エドナはその眼帯を抑えてはカドルクの後ろに隠れるように立つので、カドルクは苦笑する。

「とある事情がありまして、眼帯を外せませんが、そんなに俺等は信用できないんですかね? これでもかなりの腕なんですけどねぇ?」

「……貴様には聞いていないが……まぁいい、それと軍服のサイズが合うか寮の部屋に行ったら確かめるように、以上だ」

下がれ、と言えば、カドルクとエドナは頭を下げてささっと消える。アッカドは頭を抱えた。何故にあんな不適合者のような二人が選ばれたのか、と。

「今日から寮生活かぁ、なぁ、お前、せめて俺の前だけでも喋らねぇか?」

「うるさい……しゃべるのは疲れる」

「うわぁ、辛辣。でもそこがいいんだよね、中々懐かないような男ってそれなりに仲良くなれそうな気がして……」

右側に眼帯で右側を髪で覆っているエドナをカドルクは目を細めて見つめる。その視線が嫌なのか、エドナはそっぽを向く。

「お前はチャラいから仲良くなんかなれる気がしない……」

「へぇ……これ言われてもかい? 君の眼帯……──だろ?」

「っ──!! お前、何者だ?」

ポケットから銃を取り出して、カドルクに向ければ、ふぁっと近づかれて抱きしめられる。反射的に銃が落ちる。

「何者? ただのカドルク・マルベルだ。どうしてそんなに君は華奢なのかも気になるところだが、それは追々聞かせてもらおうじゃないか、エドナ」

抱きしめられた手が離れれば、呆然となるエドナ。カドルクは「お先〜」と手を振り、寮の方に向かっていくため、銃を拾い、ポケットに入れては追いかけるように寮へと向かったのだった。


そして、次の日、二人はとあるシルバーの戦闘機に乗った。隊長のアッカドはほぼ期待していなかったが、彼らを見くびっていたのに生唾を飲み込むことになった。

「やっほーーい! やはり空中はいいねぇ!」

カドルクは戦闘機を風のように操る。先輩の戦闘機より遥かにスピードもあり、旋回もお手の物だった。勿論、エドナも先輩を通り越していて、二人は最早、アッサド軍のエースパイロットとして扱われようとしていた。たった1日目の出来事だった。

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