第3話
少女____柚莉愛は、階段の踊り場に学校指定の指定鞄を抱え、ぽつんと佇んでいた。
一人分の吐息が、空間を揺らす。
新学期が始まって暫くの間を風邪で休んでしまっていて、初めて教室に踏み入ったときにはもう大体皆グループが出来てしまっていたのだ。
そして、柚莉愛は上手くそのグループに加われなかった。
はぁ、と息をつく柚莉愛はとぼとぼと教室に戻り、孤独に授業が始まるまでの時間を過ごす。
クラスメイト達が仲良さそうに机を並べて昼食を取っている中、柚莉愛はするりと教室を抜け出し屋上に向かう。
昼食を食べ終わる。
(一人で食べるご飯ってこんなに早く食べ終わるんだ)
内気ながらも、高校に上がるまでは少数の友達がいた柚莉愛にとって孤独は耐えられないほどの辛さがあった。
やることがなくて携帯を弄り、SNSを見ていく。
高校になって始めた裏アカウント、通称裏アカの画面でツイッターを開き、呟きを始める。
[ぼっち飯、学校の屋上なうww🥺 ゆりねこ@yurinya]
返信が1件2件とどんどん増えて来る。
[私は今トイレ飯中wwぼっち仲間だねww 碧海@marin__mari]
[🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺🥺実はあたしも今お一人様ー笑 咲てゃ@sakura0509]
良かった、私には同じような仲間がいる…
そんなことで安心してしまう自分に少し寂しく感じる。
適当にリプへの返事を返しながらTL《タイムライン》を見ていくと、
[彼女募集中!!東京住み求む!! 悠@UTA__ UU1111]
という呟きがあった。
軽く目を見開く。
「かのじょ…ぼしゅうちゅう…」
実は、柚莉愛は一度も異性と付き合ったことがなかった。
ふぅん…そんなに興味ないけど…?そんなに言うんなら…と誰に言うでもなく嘯きながら、タタタ、とリプを返す。
[私東京住です(*^^*)良かったらDM《ダイレクトメッセージ》で話しませんか?ゆりねこ@yurinya]
打ち終わったあとに丁度よくチャイムがなる。
「あ、やば…!帰らなきゃ…けど…気が重いなぁ…」
重い足取りで教室へと歩んでいく柚莉愛はしかし、自分のリプライに即レスが来たことを知らなかった。
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