鎖禍身地(さかみち)

宮国 克行(みやくに かつゆき)

第1話 鎖禍身地

え?何?


話を聞かせてほしい?


なんの話?


怖い話?


ははは。なにそれ。


ほう、噂話を聞いた?


この住宅街で人が忽然といなくなる坂道があると聞いた?そこを探している?


へー、あんたたちも暇な事しているんだね。


おたくらテレビ局の人?


なに、違う?ユーチューバー?


動画を撮って、それをインターネットに流す?


それで、カメラ持って、この辺りを歩き回っていたと。


ふーん。ようわからんけど、今は、色んな職業があるんだなぁ。


で、その怖い噂話を知ってるかって?


いや。噂話は聞いたことないなぁ。


おじさん、この辺りに住んでいるのかって?


ああ。ここに住んでるよ。もう、長い長い間ね。


うん?どうした?当たりを見渡して。


急に日が暮れてきた?


おや。帰るのかい?


うん。うん。またおいで。


────────────


また会ったね。


どうした?怯えた顔して。


え?帰れない?


何処かに行こうと思っても、戻ってきちゃう?


あ~、足下見てごらん。


そう。鎖がついてるね。


どうやら、おたくたち、気に入られたようだねぇ。


この坂はねぇ、気に入るとその人の身体に鎖を繋ぐんだ。


だから鎖・禍・身・さかみちと言うんだよ。


なに?騙したって?


騙してはいないよ。だって、噂話ではなくて本当のことだからね。


え?これからどうなるのかって?


さぁなぁ。ヒヒヒ。


────────────


おや?もうひとりいたようだ。


あんただよ。あんた。


これを読んでいるそこのあんた。


鎖禍身地さかみちは、突然、現れるかもしれないよ?


気をつけてな。


ヒヒヒ。













































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鎖禍身地(さかみち) 宮国 克行(みやくに かつゆき) @tokinao-asumi

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