第2話 転生は従者を伴って


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『ケイトラン・プリズト』 十六歳 男 種族:人族

クラス:『召喚士』

スキルポイント:0

レベル:1 

HP:50/50

MP:50/50

筋力:10

耐久:10

俊敏:10

魔力:10

幸運:10

スキル:『召喚術:C級(A級)』『戦いの心得:D級』『生産の心得:D級』『闇魔法:C級』(『空間収納:A級』『隠蔽:A級』『鑑定の魔眼:S級』)

祝福:『月女神の祝愛』

称号:『転生者』『魔に好かれるモノ』(『最高神の愛を受けしモノ』)

配下:『魔兎(神月魔兎):かぐや』


※()は隠蔽スキルの効果を受けて隠されている為、他人には見えません。


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「―設定した時より強くなってね?」


 涼しい風が草原を抜け、暖かな日差しが俺を照らす。

 目が覚めた後、直ぐにステータスを確認すると何故かスキルが全て強くなっていた。後、見覚えの無いスキルも習得しているし。


「……これの効果か。」


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『月女神の祝愛』

 月女神より愛を受けたモノの証。雲一つ無い月下の時、自身の全てが二倍になる。満月の時、ステータスが十倍に強化される。月夜の時、状態異常が回復し、自然回復速度が上がる。月に関わりがあるモノから好かれやすくなる。スキル『隠蔽』と『鑑定の魔眼』を習得する。


『最高神の愛を受けしモノ』

 最高神より愛を受けたモノの証。全てのスキルランクが一つ上がる。レベルアップ時のスキルポイント獲得とステータス成長率が増加する。未習得スキルの習得に必要なポイントを一つだけ1にする事が出来る。


※月女神「お詫びとして最高位の祝福を授けました。慣れない事が多いと思うので、従者も付けておきました。存分に扱き使ってください」


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 ステータスを探すと、この二つが原因だと分かった。……いや、原因ではなくて善意か。あの女神さま、こっちの世界では最高神だったのか。

 そして配下に見知らぬ名前がある理由も分かった。アフターケアまで完璧とか、流石女神さまだ。感謝として、夜の月に毎日感謝の祈りを送るとしよう。

 こんなチート染みた力を貰ったんだ。大金が手に入ったら、神殿に多額の寄付をするとしよう。それが恩返しになるかは知らないけど。

 

「さて、次は従者の確認だ。……確か、俺の魔力圏内ならどこでも召喚できるんだったよな。」

 

 召喚術の召喚は、自身の内に魔力体として存在している配下に自分の魔力で現実の肉体を創る事で成立する。

 なので、自分の魔力総量と魔力上限を上回る存在を召喚できないし、召喚時に使用したMPは回復しない。召喚を解除する事で、MP上限は元に戻る。

 ランクによって契約時と召喚時のMP消費量が軽減されるし、強化の能力値もかなりのものになる。


「来てくれ、『かぐや』!」


 召喚陣が光り輝き、粒子が配下の姿を形どる。光が収まると、俺の初めての従者にして配下の魔物がその姿を現した。

 


「―月女神が眷属の一柱、貴方様の最初にして一番の配下。神月魔兎しんげつまとのかぐや、此処に参上いたしました。」



 長いうさ耳に純白の体。毛並みはもふっとしていながら体はすらりとしている兎。

 これが、俺の最初の配下。


「これからよろしく、かぐや」

「よろしくお願いいたします、主様。主神より主様のお世話を任されている故、このかぐや、存分にお使いください」

「ああ、色々と世話になる。早速だが、かぐやのステータスを見ても良いか?」

「ええ、勿論。主様の意思の儘に」

 

 女神様にあったり、転生したりしたんだ。今更兎が喋った所で驚かないさ。……まあ、最初から忠誠度が高い事には驚いているが。あれかな、主神の命令は絶対だから世話相手の俺にもある程度忠誠を誓ってくれている感じかな。


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『かぐや』 千五十二歳 女 種族:魔兎(神月魔兎)

クラス:『魔法兎』(月姫の聖魔師)

スキルポイント:0

レベル:5

HP:100/100

MP:100/100

筋力:15

耐久:15

俊敏:40

魔力:34

幸運:50

スキル:『強化魔法:C級(A級)』『付与魔法:C級(A級)』『回復魔法:C級(A級)』『風魔法:C級(A級)』『脚闘術:C級(A級)』(『聖魔導:EX』『月下進兎:EX』『月魔法:EX』『月夜の導き:EX』)

祝福:『月女神の系譜』『神の眷属』

称号:『魔の兎』(『月女神の眷属』『神に並びしモノ』『頂の到達者』)

――――――――――――――――


「隠蔽効果が付いているモノは、主様のレベルに合わせて開放されていきます。現在のステータスは、今の主様の実力に合わせて調整されたものです。」

「……へ、へぇ……そうなんだ」


 いや、強すぎだろ!本来の力を出せないとしても、封印状態の今でも十分強いわ!少なくても俺よりは上だろ、これ。


「本来は前衛で魔法と蹴りを主体としたバトルタイプなのですが、今回は主様のサポートをメインとした後衛支援仕様になっています」

「じゃあ、俺が前衛で頑張ればバランスが良くなるわけか」

「スキル構成的に、主様は前中後の全てが出来る万能タイプに育つことが出来ます。主神様の祝福もあり、他の人より速く、幅広く、強くなることができます。その為、主様には万能型が一番合っていると思い、この様な構成に致しました」

「……ありがとう、そんなに俺の事を考えてくれて。流石、あの女神さまの眷属なだけあるな」

「はっ!勿体なきお言葉でございます」


 あの優しい女神さまの眷属なだけある。一番最初の配下がかぐやで良かった。これも、女神さまに感謝しないとな。

 これだけ支援してくれているんだ。俺もそれに答える為に、それ相応のなにかを成し遂げないとな。……まあ、元は言えば女神さまのミスで転生する事に成ったので、感謝はいらないと言われればそこまでなんだが。

 それでも俺は感謝を捧げよう。


「さて、っと。気になった事の確認も終えたし、そろそろ移動しよう。確か、近くの街は¨ファス¨って言ったっけ」

「はい。周囲に強力なモンスターが居らず、Ⅾ級以上のダンジョンも発生していない、比較的安全に成長する事が出来る街です。主様の冒険者生活を始めるには持って来いの場所ですね」

「女神さまが言うには、ここから道なりに行けばすぐに着くらしいし、仲を深める為にも話ながら歩こうか。何か、知っていた方が良い事とか教えてほしい」

「分かりました。では、先ずは――」


 俺達は、この世界の事やお互いの事について話し合いながら街を目指した。


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