第94話 世界の外より

 ───────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────おや?



 今回は、どこかいつかのお話は流れないのかな。


 ふむ、どうやら彼女は今回はあまり語る心境ではないようだ。


 まあ、その気持ちは分からないでもない。



 では代わりに、私がこのひと時のみ、物語の読者から語り手になり替わろうか。




 さて、イリアは破壊の化身エミル嬢を再び仲間に引き入れることができたようだね。


 彼女がいることで生じる被害に上限がないのも困るが、それでも戦力としての心強さは計り知れない。



 しかし、そんな彼女がいたとしても、次の戦いは厳しいものとなるだろう。



 そもそもイリアもエミルくんも大きな思い違いをしている。


 何故が以前と同じままであると思っているのか。


 あの戦闘人形の苛烈さはかつてとは比較にならないほどのものとなっているというのに。


 いやはや、今の彼女らで果たして相手を務められるものやら。



 まあ確かにあの魔王はワイルドカードと呼べるモノだが、逆に彼の存在が殺戮マシーンのスイッチを押すことにならねばよいがね。



 何? そんなことを語るお前は誰だって?


 ははぁん、君ら私を知らないのだね。


 何を隠そう私は今をときめく大賢者、○○○・W・Wという者さ。


 ふむ、文字化けしてよく見えない?


 困ったね、イリアの視点がどうやら君たちにも影響しているようだ。


 何、問題ないさ。いずれこの旅のどこかで出会うことになる。



 まあそれも、イリアが歩みを止めなければの話だが。


 私としては彼女が前に進むことをやめて、些細な幸せを手に入れるのも一興だと思うのだが、さてどうなることやら。



 ─────すまないね、最近は私が見る未来も虫食いで、はっきりしたことは口にできないんだ。情けないな。



 それでは諸君、今回はここまでだ。


 いつの日にか私の姿をお見せできる日を楽しみにしているよ。



 ──────────それまではどうか、彼女たちのいじましくも輝かしい旅路を見守ってあげて欲しい。



 あらゆる命、どんな物語にも、必ず終わりの時がやってくるのだから。

 

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