The Pain

津島 結武

The Pain

私の心はきっと狭い部屋の中にいる。

そこはあまりにも暗く、何も見えない。何かがあるのかさえわからない。

ここが本当は広いのか、やはり狭いのかさえわからない。


扉はどこだ。

探しても見当たらない。

手探りしても空を切るだけで、何にも触れられない。


誰もいないのか。

そう声を出したかった。

しかし、出なかった。出せなかった。

単に声が出ないわけではない。

何かが私に声を出させないようにはたらきかけている。

助けを呼べないように。泣き叫ばないように。


私はどうすればいい。

悠長に考えていられるほどの余裕はない。

すぐに動揺した。

ずっとここにいなければならないのか。

そんなの耐えられない。

私の喜びはどこに行ったのだ。

私の安心はどこに行ったのだ。


そうだ、私をこんな状況に置いていったのは誰なんだ。

あいつらか。

しかし、あいつらがこんなことをするとは……。

では、私が自らここへ?

そんなのありえない。

だが、自業自得なのか。


嫌だ。

こんなところにいたくない。

今すぐここから出してくれ。

私がいったい何をしたと言うのだ。

ただ幸せに、安心して過ごしたかっただけなのに。


一本の線香が燃え尽きるほどの時間が過ぎた。

つらい。

苦しすぎる。

こんなところに一生いるくらいなら、いっそのこと――。

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