大文字伝子が行く163

クライングフリーマン

オクトパスとの決戦(前編)

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。

 斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

 夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。

 増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。

 金森和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 日向さやか(ひなたさやか)一佐・・空自からのEITO出向。伝子の影武者担当。

 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向。

 江南(えなみ)美由紀警部補・・・元警視庁警察犬チーム班長。EITOに就職。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。

 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。

 青山たかし元警部補・・・以前は丸髷署生活安全課勤務だったが、退職。EITOに再就職した。

 渡伸也一曹・・・陸自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当の事務官。

 草薙あきら・・・警視庁からのEITO出向。特別事務官。

 天童晃(ひかる)・・・EITO東京本部剣道顧問。EITO準隊員待遇。闘いに参加することも。

 物部一朗太・・・伝子の大学の翻訳部の副部長。故人となった蘇我義経の親友。蘇我と結婚した逢坂栞も翻訳部同学年だった。

 物部(逢坂)栞・・・伝子の大学の翻訳部の同級生。学生結婚した蘇我の死後、1人だったが、今は再婚して、物部の妻。

 依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。名付けたのは伝子。やすらぎほのかホテル東京支配人。

 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

 鳥居真一郎・・・国賓館SP隊長。

 橋爪警部補・・・丸髷署生活安全課刑事。愛宕の相棒。

 久保田管理官・・・EITO前司令官。斉藤理事官の命で、伝子達をEITOにスカウトした。

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 中山ひかる・・・以前、愛宕のお隣さんだった。謎解きが得意な大学生。伝子達の後輩。

 中山千春・・・ひかるの母。

 山下いさみ・・・オクトパスの「枝」だった?拘置所に入っている。

 一ノ瀬欣之助・・・一ノ瀬孝一佐の父親。

 一ノ瀬悦子・・・一ノ瀬一佐の母親。

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 =EITOガーディアンズとは、エマージェンシーガールズ後方支援部隊である。=

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


 Tick Tackの画面。

 お待たせー。今日は、かなりの活躍で、くたびれただろう?

 僕は律儀な男だから、約束は守るよ。でも、お疲れだから、ちょっと早いお盆休みあげよう。お盆休みだから3日間かな?

 おやつ、何にしようかな?

 》


 4番目のマフィアを倒した日の深夜に、それは流れた。

 翌日。午前9時。EITO本部。会議室。

「やはり、どこかで観ていたのか?」と伝子は呟いた。

「じゃ、お言葉に甘えて3日間、休みだ。可能な者は、墓参りでもしておいてくれ。」と、伝子は言った。

「おねえさま。3日後。時間は午後3時。『おばけ煙突』のモニュメントのある大学ですか、闘いは。」

 なぎさの問いに、「そうだ。この期間に、助っ人を揃えよう。全力で来るのなら、以前の黒装束忍者1000人だ。恐らく銃火器を持ってこない。連中は、こしょう弾や水流ガンのことを知っている。どうだ、なぎさ。呉越同舟で闘った時、間合いを計ったとは思えないか?」

「そう言えば、銃火器を持って来なくて、バトルスティックで闘い出した時、助っ人に入りました。」

「詰まり、今回はバトルスティックやトンファーならオッケーってことね、おねえさま。」と、横からあつこが言った。

「まあ、そうなるな。念の為、装備は持って行くが、身に着けるモノは接近戦用だけでいい。」

 伝子の言葉に、「では、猶予の間に、私用を済ませてくれ。こちらも段取りを整える.解散!」と、理事官は言った。

 午前11時。ある墓地。一ノ瀬孝の墓の前。

 なぎさは、孝の両親、詰まり、舅姑と、殉職した夫の墓参りをしていた。

「なぎさ。午後から、写経をしなさい。」と、欣之助は言った。

「写経ですか。」「気を落ち着かせるんだ。副隊長という名前ではあっても、実質的に臨時隊長なのだろう?リーダーは、いつも沈着冷静でいるべきだ。一種の修行だな。」

「了解しました、お義父さま。」と、なぎさは笑った。

「母さん、蕎麦屋でも寄って帰ろう。」「そうですね、いいわね、なぎさ。」

「はい。お義母さま。」なぎさは、2人が、自分を実の娘のように呼び捨てにする気遣いが嬉しかった。

 3人が蕎麦屋で蕎麦を注文して待っていると、「ちょっと・・・ちょっと、お客さん・・・待て!」

 店員は食い逃げした客を追って、店を出た。

 なぎさは舅姑に会釈すると、駆けだした。

 なぎさは、あっという間に店員を追い越し、3人の食い逃げ犯に追いついた。

「なんだ、このアマ。蕎麦のついでに食っちまったか。」「生憎処女じゃない。まずいぞ。」

 2分も経たないうちに、3人の男は、空を見上げて横たわっていた。

 店員は「ありがとうございます。」と、なぎさに何度も頭を下げた。

 到着した自転車から降りた警察官は、「2回目ですね、一佐。」と言った。

 午後2時。馬場のアパート。

「大丈夫なのか、和子。」「何?調子悪くないわよ。今回は、ちから達は待機ね。」

「分かってる。オクトパスは卑怯なことしないさ。それより隊長だよ。」

「隊長の、体調、ね。私たちには教えて貰えないみたいよ。でも、今頃検査していると思うわ。」「なんで、分かるんだ?」「隊長はね、診察に行く前は財布を確認するの。」

「お前、よく観察しているなあ。」「これでも、一番の部下で、付き合い長いからね。そう言えば、きよみの墓参り、暫く言ってないな。」

「殉職した、江島3尉か。」「明日朝、墓参り、付き合ってくれる?」「夫婦だぜ、忘れるな、大食らい。」「言ったなあ。」

 2人は、暫くじゃれあった。「今日でもいいよ。」「うん。行こうか。」

 並んで寝た2人は、また起き上がった。

 午後3時。依田のマンション。

「いいマンションじゃない。もっと早く呼んでくれれば良かったのに。」「忘れてたのよね、おっちょこちょいだから。」

 栞と蘭の会話に「はいはい。おっちょこちょいの依田が、コーヒー入れましたあ。副部長に貰った粉だよ。」と、3人の珍客を見ながら、依田はコーヒーを出した。

「慶子ちゃんは?」「お仕事。仕方無いですね。」と、依田は、副部長に応えた。

「それで、話って?」「先輩、大丈夫かな?って思って。」

「予定日、来月だけど・・・あまり運動しない方がいいけどね。」と、栞が言った。

「高遠がね、毎晩夢見るらしいんですよ。」「夢?」「流産する夢。」「あー、そういうのって言わない方がいいのに。悪運が寄ってくるって聞いたことないの?依田さん。」

「そうなの?おっちょこちょいだから知らなかった。」「まあ、俺達がやきもきしてもなあ。こういう時、男は何も役に立たないよな。」「ですね。」

「呆れた人達ね。」栞は、夫である物部と後輩の依田を睨んで言った。

 午後3時半。福本邸。

 祥子はLinenで、依田達と話している。「ウチはラッキーだったからねえ。完全に守られていたし、先輩はいつも危険と背中合わせだから、高遠さんも心配よねえ。」

「まあ、愛宕さん達も陰になり日向になり警護しているけどねえ。」と、依田は言った。

 午後4時半。池上病院。

 診察室前で待っていた、日向と伊地知に池上院長は言った。

「今、検査に行ったわ。普通の医師は行かせないけどね、飯星さんも行くのよね、闘いで何があっても、私に連絡するように言っておいて。」

「了解しました。」

 同じ頃。久保田邸。トレーニング室。

「今日は、この位にしておきましょ。2人とも上達が早いわね。ねえ、みちる。」「うん。先行きが楽しみよ。」

 財前と仁礼は、あつことみちるの指導で、ブーメランの特訓をしていたのだ。

 久保田管理官が現れ、こう言った。「健太郎がね、おやつにしましょう、って、言ってる。」

 同じ頃。ウーマン銭湯。

「明日、どうしょうかな?急に休暇貰ってもねえ。」と増田は、隣の馬越に言った。

「スケートリンク行きます?今、稲森さん達が行ってる筈。」と、大町が言った。

 2人は、簡単に合流することにした。

 30分後。スケートリンク。

 そこには、稲森、田坂、安藤、あかり、結城、江南、浜田、工藤がいた。

 スケートリンクは休業していたが、ボーリング場は開いていた。

 増田のスマホが鳴動した。

 小坂からだった。増田はスピーカーをオンにした。

「増田さん、草薙さんに探して貰ったら、近くにいらした。」

「落ち着いて、どうしたの?」「郵便局強盗なんです。電動キックボードで、あちこちに逃げちゃって。」

「分かった。皆、聞いての通りよ。腹ごなしにやっつけましょう。結城。精算して。」

「僕がたてかえておくよ。皆、行って!」「ひかる君・・・ありがとう。じゃ、皆行くよ!」

「いい格好しちゃって。結局、お母さんが払うのね。」と千春は苦笑した。

 午後5時半。

 愛宕と橋爪警部補が警官隊を率いてやって来た。

「人海戦術の勝利ですな。」と、橋爪警部補が言うと、「小坂、下條。結局全員捕まえられたけど、今度からは、警察官任務とEITO任務は切り分けてくれる?」と愛宕は苦言を呈した。

「愛宕君。私からよく言っとくわ。」と、結城が代わりに謝った。

「警視やみちるに知れたら、大変だって言っといて下さいね。」

 愛宕は、橋爪警部補と引き上げた。

 その時、彼らは、撮影者に気づかなかった。

 翌々日。午後2時半。帝京科学大学千住キャンパス。本館棟前。近くに、『おばけ煙突』のモニュメントがある。

 伝子達エマージェンシーガールズとEITOエンジェルス、EITOガーディアンズは、南部経由で集まった東栄エキストラクラブの面々、天童、何故か押しかけて来た窪内組と遠山組の組員の超混成メンバーを連れてきた。お互いに挨拶を交わしている内に時間が過ぎていった。少し遅れてSATもやって来た。

 午後2時50分。、以前の闘争でリーダーをしていた男が、なぎさに言った。

「ウチのメンバーの内、500人は向いの体育館にいる。他はキャンパス内のどこかだ。ところで、人数かき集めてきたのはいいが、ヤクザはともかく、その素人まで連れて来て大丈夫なのか?」

「銃や機関銃を持ってきたのか?」「いや、どうせ、お前らはなんとかガンで蹴散らしてからバトルするだろ?・・・あ、そういうことか。」「そういうことだ。隠し撮りしていると伝えてある。」

 なぎさの言葉に、リーダーは改めてメンバーを見る。EITOのメンバーも銃は持っていない。ヤクザは野球のユニフォームにバットだ。そして、東栄エキストラクラブチームは、竹刀か木刀を持ち、鉢巻きをしている。SATは電磁警棒だ。100人足らず対1000人か。無謀な奴らだと感心した。

「よーし。皆時計を合せてくれ、今から10分後の午後3時に試合開始だ。負けたと思った者は地面に伏せてくれ。降参した者をいたぶる趣味は、こちらにはない。午後3時に多く残った方が勝ちだ。」「異存は?副隊長どの。」「ない。」

 午後3時。銘々が闘い始めた。

 窪内組や遠山組は、闘い慣れていた。EITOガーディアンズもEITOエンジェルスも。そして、SATも。やはり、東栄エキストラクラブのメンバーから、崩れて行った。

 午後4時。体育館。

 EITO側は30名、オクトパス側は、29名。残った者が集まった。

 その時、総子のスマホが鳴動した。「うん。終った。帰るわ。」

 なぎさが頷くと、総子達EITOエンジェルスは帰って行った。

「では、決着が付いたようだから、私たちも引き上げましょう。外で待っている人達と。」と、天童が声をかけ、東栄エキストラクラブの面々も引き上げて行った。

 窪内組も遠山組も、組長は来ていなかったが、帰って行った。

 どこからか、笑う声が聞こえた。

 ある男が中央に出てきた。伝子が、その向いに立った。

 伝子は言った。「久しぶりだな、山下。」

 ―完―

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