ゴブリンニワトリ

 夜明け前。ニワトリ小屋が「コケコケ」「コッコッコッ」と騒がしくなる。


 その声に混じって、「ゴブゴブ」という不快な声が聞こえてきた。


 嫌だなぁ、と思いながら、私はニワトリ小屋をのぞく。


 ピーマンのようなニワトリが一匹増えていた。


 そのピーマンニワトリ———ゴブリンニワトリは、ニワトリたちのエサを横取りしていた。


 ゴブリンニワトリとは、体はニワトリ、顔はゴブリンというミキサーに掛けられたような姿の生き物のことである。


 ニワトリは、背筋を伸ばして首だけ前後に動かしながら歩く。


 本物のニワトリがそのように歩いていても、なんとも思わない。


 ゴブリンニワトリがそのように歩くと、なぜかイライラする。


 チキンにしてやりたいが、食べてもおいしくないので取り扱いに困る。


 とりあえず、ニワトリ小屋に不法侵入し、家賃や食費も払わずに家主のように居座っている件について、清算してもらおうか。

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