ゴブリンたまご2

 ゴブリンたまごとは、卵の黄身がゴブリンの姿になった、食欲が失せるゴブリンのことである。


 仰向けやうつ伏せではない。


 卵を割ると、なぜか必ず涅槃の姿で現れる。


 お前ごときが悟りを開いたとでも言うのか。


 バカにするな。


 お前が大悟するくらいなら、とっくに私は如来となっている。


   ◯


「このやろう! 俺の朝飯をどうしてくれる!」


 フライパンの中にいるゴブリンたまごに向かって叫んだとする。


「ゴブ、ゴブ」


 まぁ落ち着けと言わんばかりに、ゴブリンたまごが落ち着いた声で、「ゴブ、ゴブ」と諭してくるであろう。


 朝食を台無しにした犯人がなにを言っている?


「菩薩気取りか、このやろう!」


 朝から怒りメーターが一つ上がることは間違いない。

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