魔物合成術師さんとショッピングデート

「これって賢者さん家の磁石で飛ぶボタン。そうだ返し忘れたんだった……あの状況で返せる訳無いもんな」


『押して此処から逃げましょう』


「だな。此処にいる意味は無いし」


『そうですね、後何処かで店寄って貰えませんか?地図が欲しいです私の身体が何処にあるか目安をつける為にも。コケ男さんも色々買い込んだ方が良いですよ』


「じゃあ良いところがあるまあそれは後でな。とにかく脱出しよう」


俺は磁石のボタンを押した。








地下牢に着いた。多分此処だと思うんだけど……


「全部見回ったけどいない、捕まえたと言う話が嘘だった?いやボクにそんな嘘を付くメリットは無い、だったら捕まえたけど逃げられたって言う方が正しそう。でもどうやって……」


はっ!そういえば昨日渡したマグネットワーパー……返して貰ってない。まさかね……


磁石を取り出してボタンを押して家に戻る事にした。会って色々話がしたい謝りたい。じゃないと罪悪感で配信見るのキツそうだな。





よし着いた。急いでおじさんの店へ向かわないと……


『待ってください……何でそんな急ぐんですか?』


脱獄にバレたらどうするんだ!一度目は生きてたけど二度目は死刑かもしれない


『あー確かに面倒ですね。私が勇者の剣に偽装している様に貴方の姿も偽装させましょうか……簡単なモノになりますが…あっでも』


そんな事出来るのか?じゃあやってくれ!


『いや、あんまりオススメは……』


「あれ……賢者じゃね?早く!何でも良いから」


指差す方向には家に戻る賢者の姿が見えた。まだコッチには気付いてないみたいだ。


『わ、分かりました……本当に簡単なモノになりますよ』


その声に分かったと答えるとすぐに終わりましたと言う声が聞こえた。急いでおじさんの店に向かおう。







なんとか賢者に気づかれずおじさんの店に着いたのは良いけど道ゆく人の反応が気になった。俺を見てコソコソと何かを話したり驚いたり引かれたりしたけど気にしない事にする。


さあサッサと買い物済まそう


『二人っきりで買い物。デートみたいですね』


ハハッ…マンドラゴラやリングォに嫉妬されるかもな、ってかこんなに好意が芽生えなそうなデートは初めてだ、と言うかデート自体した事無いし。


「おう!いらっ…」


扉を開けて店長は固まった。


「誰だお前ッ!?」


そしてそう叫んだ。俺だぞ?って偽装してるんだっけ……解除してくれ


『了解です』


「おぉっお前かびっくりしたぞそんな格好で街中ウロついてたのか?」


そんなってどんなだ?


「顔を黒いナニカで隠してほぼ見えない状態だ。モンスターって言われても納得出来るぞ」


やばいなそれ通報されない方がおかしいぞ……治安悪いなこの街


「じゃあ出てけよ……」 


買い物しに来たんだ。地図と水と食料。それから使えそうな魔物の素材、後リングォ。この金で買るだけくれ。


俺はおじさんに金を渡すと奥の方へ行った。


戻って来て手に持っていたのは地図と水だった。


「後は食料とかだな」


『見せてください……これ五大陸の地図ですか。うーんもうちょっと詳しい地図無いか聞いてください』


無いか?


「ねえな……」


『該当箇所が多い。どう言う事?私の身体がそんなにあるのか?』


近くにあるのは?


『一番近いのは隣町ですね』


よし行こう。お喋りケンちゃんが嫌になってきた……このままじゃおかしな人になりそうだ。


『所で隣町って言う割には海の向こうなんですけど』


なあ店長!船無い?


「ねぇ!」


泳ぐか


『あっ水NGなんで濡らさない様にお願いしますね』


任せろ








ボゴボゴボゴボゴボ…オェッ


『即堕ち二コマ!』


「ボクがいなきゃ死んでたよ?」


『ギャー‼︎ストーカー‼︎』

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