ほぼ 読み専のツマミ書き

宮地 秋愛

第1話 難しいよ、オリジナル小説。

 過去、どハマりした小説で二次創作を楽しんでいた私。


 ストーリー展開の合間にちょいちょい入る作り込まれた舞台設定の細かな描写。登場人物はキャラが立っていて魅力的で、なにより好きな分野のハッピーエンド系。

 いろいろなキャラ視点におりては物語の世界観にいりびたり、それはもう筆が進みまくっておりました。


 西洋を舞台にした現代ファンタジーで、図書館に行けば資料を集められる内容だったこともあり、もう夢の世界へとまっしぐら。

 二次創作の読者は当然その物語のファンなので、説明不足でも通じるんです。感想をもらえたのが嬉しくて、コミケにも交ぜてもらえて。

 いろいろと余裕がなくなり二次創作から離れましたけど、得難い体験をしたなと折々振り返ります。



 ちなみに初めて沼落ちした小説は、日本を舞台にした現代ファンタジーでした。

 話が進むにつれて「痛い、読めない、続きが気になる」の三重苦が加速し、気持ちの切り替えスイッチを自力で押せなくなる非常事態に突入。物語には物語を、とイラスト&あらすじ判断で未読小説を探すも、好みが大転換していて女主人公では世界観に入っていけないことが判明。もともと読んでいたシリーズやBLなら頭に入るのですが、心の片隅で引きずっていて、始めに戻るという。


 漫画は普通に読めていたので、この小説を読むときの相方は、しばらくの間、漫画>他の小説だったのですが、小説一冊に対する漫画の必要な冊数が十の位突入の事態に「小説、小説はどこ?」という繰り返し。それでも見つからず、物語の佳境に近づいていく気配はヒシヒシと伝わるし、もう、本当に、どうしようかと。購入した新刊を手に悩んだものです。結局、読むんですけどね。そして彷徨うんですけどね。


 そんなとき、未来に二次創作で楽しむことになる小説に出会えて、ようやく精神的にバランスが取れて「ただいま、現実。おかえり、私」なノリに。


 その流れで女主人公の中華風ファンタジー小説に出会い、途切れることなく最後まで読みきったときには喝采をあげました。

 とはいえ、女主人公の物語すべてを読めるようになったわけではなく系統の幅はだいぶ狭まりましたが、男主人公でもそれは同じなので、好みの物語が確立したということなのでしょう。


 どの物語が好きか、姉妹間でですら分かれましたし、場合によっては一つの小説で好き嫌いの評価パッキリ分かれましたし、感性は本当に十人十色です。


 ちなみに私が読んでて当てた『書籍化するかも』作品は、「苦手な分野なのに読みきっちゃったよ。でもこれ◯◯が好みそう」です。

 もちろん、好きな小説も書籍化されてますよ……ただ『好き』で線引きをすると書籍化されてない小説もあるので、境界線はコレかなと。

 苦手分野なのに読ませる文章力。スゴすぎです。それが書籍一冊くらいでキレイに完結していたら、最強です。続編ができそうな余地をうっすら残していたら完璧です。


 出版関係の人間じゃないし、創作系の学校にも通っていない、一読み専が偉そうにすみません。

 何が言いたいのかというと、好き嫌いが分かれる物語は個性が強いぶん、ハマっているファンがついている可能性があります。

 だから、作品を貶されたとしても、気にせず結末まで貫いて欲しいのです。


 もちろん、自分でも微妙だなと思っていたり、矛盾や行き詰まってしまい書き直したくなったとかなら、仕方ありません。

 ただ、自分がヨシとして情熱をそそいでいる作品の場合、同じ感性の読み手の目に止まったとき、ハマると思うのです。だからハマった読み手のためにも、情熱があるうちはどうかよろしくお願いします。


 流行りはたしかにあります。

 ストーリーか、登場人物の魅力か、舞台設定の完成度か、表現力か……好みの範疇から少しずれていても、登場人物がその世界で生きていると「これ、面白いかも」と惹かれますし、トリビア要素がチョロっと入ったら「へぇ~」と釣られます。


 でも、流行りものがハマるものなら、私はここまで彷徨ってないのです……。


 せめてハマる系統が自分でしっかりわかっていればいいのに、共通点がいまいちわからないんですよね。好物はハッピーエンドのラノベのファンタジー。そこからハマる物語を探す……幅が広すぎです。しかもハッピーエンドかどうかは、最後まで読んでみないとわかりません。


 そして、ハッピーエンドもくせ者なんですよね……。


 沼にハマって自力で這い出てこれず、二次創作ようの読み方をするのはムリムリムリってなった物語。そのラスト。


 ハッピーエンドだったんです。

 願いは、叶っていたので。


 よく考えれば、「ああ、そうだよね」の納得の終わりかたで、これより主人公にとっての最良の道はないなという。

 ただ、あんなに胸が痛くなるハッピーエンド、――ハッピーエンドだと理解するのにも時間かかりましたし、余韻がトラウマ並みに残ってますが――私はこの先、出会うことはないでしょう。……逃げるので。


 誤解されそうなので強調しますが、この小説に出会えて、(途中参加でしたが)ほぼ発売日に買えていた私、すごく運がいい!と思うくらい、私にとって特別な物語なんですよ。


 すべての物語をみれてはいないのですが。勇気がなくて。核となる部分のはずなのに。だからファンとは言いづらいのですよね。


 ただ、一番長く追っていた物語で、人生観だいぶ変えられたんです。

 この小説がなかったら同性愛の物語には足を踏み入れなかったし、歴史の深掘りをしたから、有名人のカミングアウトにも「個人の好みだよね」とすんなり受け入れられましたし。世界では人口増加による食糧危機への懸念が蔓延していましたから、同性愛で社会的ダメージが生じるほうが不味いのではとすら思いましたし。


 当時の話ですよ。ユニセックストイレや性別無記入の履歴書等を推してる現代の流れから見るに、今はダメージなんて起きない……はず…ですよ、ね?


 同性愛が珍しかった当時、前振りなしで知ったとき、私はどういう反応になったのか。――両親の教育方針が「他人は他人、自分は自分」だったので、案外、どうやって?の疑問を抱えたまま「そうなんだ」と納得していた気もしますが。


 当然ですが、ハラスメントは論外ですよ。

 あと性別問わず、未成年者への手出しは犯罪です。成人年齢は18歳。女性の結婚可能な年齢も現在は18歳からです。

 成人でも同意がなければ犯罪ですけどね。


 未成年者への性加害のニュースを見て思ったのは、男子トイレは早急に全個室へ改装したほうがいいのでは、だったりします。性の対象になってしまうなら、護られるべきだと思うんですよね。そのうえで、トイレの境界線を論じて欲しいなと。

 全個室が前提条件で私が望む境界線は、男性のシンボルが『ある』と『ない』です。そのうえで性別は関係ない多目的トイレを増やしてくれると嬉しいです。

 実際、高齢者の増加と車イスの利用者は比例するでしょうし、そこに子供を増やすというなら多目的トイレの需要は爆上がりでしょう。――その結果、性別分けのトイレが淘汰されたという流れなら、許容できる気もします。ただすべての利用者の気持ちを汲むというなら、淘汰はされないと思うのですが……。


 閑話休題。


 そんな私が今のところ書けそうなジャンルは、に読める喜と楽が多めの異世界ファンタジーor現代ファンタジーかなと選択肢をしぼり、あらすじを作ってみた五月某日。


 折しもカクヨムでは短編児童小説コンテスト開催を宣伝中で、軽い気持ちで書き始めました。


 ――そして、1か月経過。


 見出しに戻る。




 最初に思ったのは『常用漢字の辞書って、もしかして必要?』だったりします。

 10歳から15歳。当時の私は、ラノベではティーンズハート、コバルト世代です。読み始めた頃は一人称の女主人公が多かったと思います。

 小野不由美の悪霊シリーズもその一つですが、年月を経てホワイトハートで続編が出て、三人称の読みごたえのある物語を目にしたとき、10代前半のノリにあわせてくれていたんだなと思ったものです。


 余談ですが、漫画の有名どころだと『なかよし』で『セーラームーン』の連載が始まり、クラスの男子がハマっていました。

 少年漫画、少女漫画って分けられているけど、じつは性別なんて関係ないんだ!という思い込みからの解放に、ときめいた覚えがあります。――年バレした気がしますが、創作世界に垣根はないと信じてます。


 さておき、設定を作り込むための資料不足、キャラの魅力を高めるための知識&語彙不足、そう、足りないものばかりなのに、知った上で書き込みすぎないように厳選したり、小出しするタイミングの匙加減も考えないと物語は進まない。


 ――それらを、常用漢字の範囲内で、ノリと勢いを第一に創作する……?


(とりあえず好きなように書いて、あとで変換しようよ)


 考えることを放棄した私はオリジナル初心者、正しい決断だったはずです。


 ――そうして現在。


 エピソード一つ書くのに二ヶ月、いまだ主要登場人物にたどり着けないという事態で6000字を経過。短編児童小説を目指した名残は、物語の舞台とヒロインの年齢……。

 いえ、内容もあってはいます。ただ、物語に入りづらいかもしれないという、読者層を無視した、ある意味マズい仕上がりに。


(これ、本当にネット仕様?)


 年齢制限解除の長編仕様ならまだセーフだから、コレはコレとして短編を書いてみよう!……と仕切り直し、いきおい取りかかったのは、書き始めた物語の番外編。結果、設定の詰めこみすぎで本編の二の舞に……。


 頭を切り替えましょう。


 イベントの設定に則って、指定された長さの物語を書き、〆切に間に合わせる技術を身につけることができれば、読んでもらえる機会が増えます。

 でも今の私には高度テクニック過ぎるので、まずは『出されたお題の物語を最後まで書く』を合格ラインとします。


 『世の中にはお金では買えないものがある』という素晴らしい教訓を、違った意味で実感していた学生時代でした。

 だから、まず身につけたい技術は、完結までのストーリーをイメージする力でしょうか。


 現在募集中のお題で私が一番イメージできそうなのは『嫁入りからのセカンドライフ』です。


 その設定でちらりと頭を過ったのは、角川ビーンズ文庫の『彩雲国物語』です。コメディータッチからスタートした、強くて優しくて賢いヒロインが主役の壮大な物語。

 先ほど書いた女主人公の小説を再び読めるようにしてくれた物語で、彼女視点をメインにストーリー展開してくれたから最後まで見届けられたという、深い、物語でした。巻数が積み重なるにつれ、いろいろと切なさとやりきれなさと煌めきがそこかしこに。


 うーん、あの高レベルを求められているとしたら、普通に無理かな。


(比べなくていいから、何か書こう。大丈夫。練習だから)


 ああ……なんか、ブーメランの風を切る音がする。




 つづく?

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