第11話 お買い物デート
ペンギに着いた。
ガチャガチャコーナーのお出迎えを通り過ぎ、家電コーナーも通り過ぎて玲奈は歩いていく。
で、やって来たのは化粧品を取り扱うコーナー。
「あったあった。美容液がそろそろなくなりそうだったんだよね」
「そっか。やっぱりスキンケアとか気を遣うんだな」
「もちろん! 隼人にいつ触られても心地いい肌でいたいから」
ここでも俺のことを考えてくれているのか。感激。
玲奈が手に取った美容液の値段を見て、財布を開けてちょっと多めにお金を渡す。
「はいこれ。忘れると大変だから今渡しておくよ」
「えっ!? そんな私のものなんだからいいのに!」
「プレゼントさせてくれよ。これからも多分長いことお世話になるんだし」
「でも、私の部屋の家電とかも買ってくれたのに……」
「いいって。こういうのは素直に受け取ってお礼を言うのが、相手にとって嬉しいと思うよ」
「そっか。じゃあ、うん。ありがとう!」
うんうん、こういうところで俺が出していかないとね。じゃないとヒモのダメ男にされてしまいそうだから。
「そういえば、隼人って荷物の中にスキンケアグッズあったっけ? もしかしてやってないの?」
「有印の化粧水使ってるよ。時々……てか割とサボるときあるけど」
「その割には肌綺麗だよね。いいなぁ」
玲奈に羨ましそうに言われた。
かごに美容液を入れて、お惣菜とかを見る前にぐるっと店内を見て回る。
もしかしたら思わぬ掘り出し物が見つかるかもしれないのがペンギの面白いところだ。この前は友達がアニメグッズコーナーでタペストリー見つけて歓喜していたし。
俺も食品コーナーで美味しそうなチーズケーキを見つけて、実際美味しかったこともあるから散策は嫌いじゃない。
サイクリング、衣服コーナーと通り過ぎて、ポンと手を打った玲奈がアウトドア用品のコーナーへと進んでいく。
「隼人! こっち来て」
呼ばれたから付いていくと、アウトドアコーナーに行くと思った玲奈はまさかのその先、大人グッズのコーナーにいた。
「玲奈さん?」
「ちょっとエッチなコスプレ衣装とかあるんだよ。隼人はどういうのが好み?」
とんでもないことを言い出した玲奈を連れて離れる。
そりゃまぁ性癖に刺さる衣装はあるよ? でも、何が悲しくて性癖開示をしなくてはならないのか。玲奈と二人きりの時にしか性癖は明かしたくない。
それに、そういうのに頼らなくていい。そんなのなくても玲奈は充分魅力的だし、逆に余計なものになる。
そんな感じの話をすると、玲奈は納得してくれたみたいだった。よかった。
で、そっから離れて少し歩くと、玲奈が俺に内緒で買いたいものがあるという。
近くに衛生品のコーナーがあるから、俺も察して一旦分かれることにした。
玲奈が戻ってくるまで、アニメグッズコーナーに足を運ぶ。
意外とペンギのアニメグッズコーナーって充実してるんだよな。さすがにアニメートほどではないんだけど。
軽く見て回り、ハマっているソシャゲの推しキャラのアクリルキーホルダーがあったからつい嬉しくなって手に取ってしまった。ほら、こういうのがあるから寄り道も悪くない。
ちょっとウキウキした気持ちになっていると、玲奈が戻ってきた。
「お待たせ~。って、それは?」
「好きなゲームのキャラ。買いたいなって」
「へぇ、可愛いね。媒体は?」
「ソシャゲだよ」
「そうなんだ。私も始めようかな」
ぜひぜひ! と強めに勧誘してかごに入れさせてもらう。
で、いよいよ食品コーナーへ。
目的はお惣菜なんだけど、冷凍食品とかお菓子、飲み物なんかもいろいろと見ていく。
あ、美味しかったチーズケーキまた売ってる。
「玲奈。このチーズケーキ前食べたんだけど美味しかったぞ」
「ほんと!? じゃあ買おう!」
玲奈にも布教完了っと。
冷凍チーズケーキを入れて、牛乳がもうすぐなくなるらしいからそれも入れて、玲奈が好きだっていうナタデココドリンクもかごに放り込む。
飲み物とか冷凍食品とかそういうのはこのくらいでいいかな。あ、餃子のストックもあると助かるからこれも追加。
お菓子……は、ポテトチップスとかそういうメジャーなものをいくつか選ぶだけで終わり。
さて、いよいよお惣菜を見るとしよう。
「隼人は何食べたい?」
「そうだなぁ……唐揚げとかどう? ここのやつ美味しいみたいだし」
「いいね! あ、見て! トンカツ美味しそう!」
「ほんとだ美味しそう!」
「ハッシュポテトもあるし、迷うね!」
二人でテンション上げて食べたいものを次々選んで入れていく。
充分お腹いっぱいになりそうなくらい入れる頃にはかごはもういっぱいだった。
レジでお金を払って帰路につく。
ペンギは友達とよく行くものだけど、なんというか、こう。
恋人と一緒だと、それはまた別の感じで楽しいな。
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