キスする度に異世界に行ける話

第2話: 新たなる世界

愛美の周囲に広がる風景は、彼女が目にしたことのない美しいもので満たされていた。彼女の足元に広がるのは瑞々しい草原で、その先には色とりどりの花々が咲いていた。遠くには山々がそびえ、空は透明な青に包まれていた。

彼女は足を踏み出し、その草原の地を触れる。土の感触が温かく、生命力に満ちているような気がした。風がそっと彼女の髪をなで、その心地よい感触が彼女を包み込んでいく。

「これ…本当に異世界なの？」愛美は自分の言葉を呟きながら、まるで夢のような風景に見入っていた。地球の風景とはまるで異なるこの場所で、彼女は新たなる冒険の始まりを感じていた。

しかし、彼女の心の中にはまだ不安と戸惑いも存在していた。家族や友達、普段の生活から遠く離れ、見知らぬ場所に迷い込んでしまったことの現実が、次第に彼女の心に迫ってきた。

「でも、きっとどうにかなるわ。私は強いんだから。」愛美は自分に言い聞かせるように、小さな笑顔を浮かべた。彼女は心の中で決意を固め、この新たなる世界でどのように生き抜いていくかを考え始めた。

そして、再び風が彼女を包み込むような感覚がやってきた。愛美は思い立ち、自分の唇に指を触れさせた。その瞬間、異世界の風景は消え、地球の景色が再び目の前に現れる。

「やっぱりこれは…私の秘密なんだね。」愛美はほんのりと微笑みながら、新たなる世界と地球とを行き来する力について、心の中で冒険の先に待つ未知の未来を思い描いた。