第17話「ナチュラルにいちゃつく二人」
点呼を終え、施設に荷物を入れた後は、国の重要文化財でもある歴史ある建物を巡ったり、講堂学習をしたりした。
これは、小学校、中学校でも同じことをしているので、懐かしさを感じるものの、目新しい感情はない。
その後は
「なんで、俺がここに……?」
現在俺は、美麗、花巻さん、村雲の三人と一緒にお弁当を食べることになっていた。
昼食になった途端即行で美麗に捕まったことが原因だが、かなり気まずいし、周りの目がめちゃくちゃ痛い。
ちなみに和輝は、俺と一緒に食べる予定だったのに、美麗と村雲が来た途端そうそうに逃げやがった。
今度から奴は、裏切り者と呼んでおく。
そして、同じ班の最後の一人である男子は、今日熱で休んでいた。
おかげで、このハーレムみたいな状況になっているのだ。
――うん、全然嬉しくない。
「へぇ、村雲さんって自分でお弁当作ったんだ?」
「あぁ、僕の両親は共働きでね、昔から自分で作るしかないんだよ」
村雲はなんでも、自分でできる印象がある。
それは、昔から自分でどうにかしないといけない環境にいたからなのかもしれない。
うちと、少し似ているのかもな。
まぁうちは愛がいるので、あの子がなんでもやってくれるのだけど。
おかげで、俺と美麗は家事が苦手というか、ほとんどできない。
「へ~、それじゃあ私たちと――」
「美麗、ご飯粒が付いてるぞ?」
明らかに美麗がまずそうな発言をしそうだったので、俺は美麗の口元についていた米粒を指で取る。
そして、そのまま口に含んだのだけど――。
「「…………」」
村雲と花巻さんが、目をパチパチとしながら俺の顔を見つめてきた。
なんか、変なことをしたか……?
「翔、突然されたらビックリしちゃうよ?」
美麗は特に疑問を抱いていないようで、困ったように笑っていた。
この笑いは、言葉にした通り、驚いたからだろう。
「悪い、美麗が口を滑らせそうだったからな」
美麗にだけ聞こえるように、事情を耳打ちする。
すると、美麗もわかったようだ。
「あっ、そっか。ごめんね」
自分が悪かったと思った美麗は、笑顔で謝ってきた。
こういうところは素直で好感が持てる。
「いや、滑らせたわけじゃないんだから、気にしなくていい」
「んっ、ありがと」
美麗はそのまま、何事もなかったように弁当を食べ進める。
問題は、目の前で見つめてきている村雲や花巻さんだ。
「なんか用か?」
とりあえず俺は、村雲に声をかけてみる。
「いやぁ、ナチュラルにいちゃつくなぁって。ねっ、花巻さん?」
「う、うん……凄い……」
笑顔の村雲が話しかけると、花巻さんは顔を赤くしながら一生懸命首を縦に振っていた。
この子は、すぐに顔が赤くなるな。
「これは、いちゃついてるとは言わないだろ?」
「ふふ、君がどう思っているは知らないけど、周りから見たら立派ないちゃつきだよ」
村雲はどうしてもいちゃつきに持っていきたいようだ。
一々相手をしてられないな。
「美麗、また口元についてるぞ」
「んっ」
指摘をすると、美麗は『取って』と言わんばかりに口を突き出してくる。
だから俺は先程と同じように指でご飯粒を取り、その後は村雲たちの視線を気にしないようにしながら、弁当を食べるのだった。
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【あとがき】
読んで頂き、ありがとうございます(#^^#)
話が面白い、キャラがかわいいと思って頂けましたら、
作品フォローや評価☆☆☆を★★★にして頂けると嬉しいです(≧◇≦)
これからも是非、楽しんで頂けますと幸いです♪
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