③
「いいのかな~こんなことして……」
「いいの。いいの! このまま引き下がったらつまらないじゃん!」
「ひまりさんの言うとおりです! それに、こんな時間にお酒とおつまみを買うようなおじさんに言われる筋合いはないです!」
流架と輝からそろっと抜け出した三人は暗い森の中をずんずん進んでいた。自分たちを注意してくれたふたりに対し空はブツブツと呟いた。
「この近くですね……ん? あれは……」
茂みの中で何かがキラリと光った。ガサガサと茂みを掻き分け光のもとを確認すると、画面が割れた、赤黒いシミが点々と付いたスマホが落ちていた。
「何でこんな所にスマホが落ちているんでしょう?」
「しの先輩。それひょっとしたら行方不明になった投稿者さんの物じゃ……」
空が口に手を当てながら震えた声で言う。
「何か手がかりになるものが写っているかもしれません……良かった。バッテリーも残っていますしデータも無事みたいですね」
スマホを操作しながら、行方不明となる直前の編集もされていないデータを探し当てたしのはゴクリと固唾を飲み込むと再生ボタンを押した。
『はいはい、最近ここの公園に不審な光が落ちてきたらしいので見に行きたいなと思います〜! 』
投稿者は森へと入っていく。
『はい、スパチャありがとうございますっ!』
次々と流れてくる動画におかしな所はないかと三人はスマホを覗き込む。何の変哲もなく投稿者やこの森の様子が流れるばかり。
ガサッ……
『ん、俺の後ろから音がした?』
視聴者に言われ、後ろを振り向く。
ガサァ!
『え……』
ガガ……ザァーー……
投稿者の声と共にスマホから嫌な音が聞こえ画面は真っ暗となった。
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