初恋

勝利だギューちゃん

第1話

「疲れたな、少し休むか」

ペンを机の上に置く。


原稿用紙には、書きかけの小説がある。


僕は作家。

今時珍しい、アナログ派だ。

パソコンは、性に合わない。


「あなた、お茶が入りましたよ」

「ああ、ありがとう」

妻がお茶を入れてくれる。


このお茶がとても旨い。


「あなた、今回の小説の題名は決まったの?」

「いや、まだだ」

「今回は、どんな話なの?」

「ラブストーリーだよ」

「あら、珍しいね。あなたにしては」


僕はどうせフィクションなんだから、日常では面白くない。

奇想天外こそが、小説の醍醐味と思っている。


普段は出来ないことを、小説の中で体験したいのだ。

これまでも、そうだった。


しかし、時にはいたずらもしたくなる。


「どう?初恋というのは?」

「初恋?」

「あなたにとっては、初めてのジャンルで恋愛もの」

「だから、初恋か!」

「ええ」


よし、それでいこう。

そうと決まれば、早速続きだ。


『その日は、雪が降っていた・・・』

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初恋 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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