戦争の親玉 ブラッド一号の花嫁

ラッキー平山

前作のあらすじ

 本作品の日本は、憲法改正により軍隊を持っているというパラレル設定である。アメリカの要請で各国の紛争地域に派兵しているが、政府と軍上層部の愚策により、多大な死者を出している。


 軍事科学研究所所員の桜庭凛博士によって作られた女子高生型ロボットのブラッド一号は、早朝の満員電車に押し込まれ、そこで手首から長い回転刃を出して大量殺人し、犠牲者たちの血を飲んだ。彼女は人間の血をエネルギーにして動く戦闘ロボットで、体内の血が減るまで人を殺し続け、満タンになると、また減るまで辺りをうろつき、減るとまた殺す、という行為を繰り返すように作られている。彼女は、荒んだ育ちにより人間を憎悪するようになった凛博士の人類殲滅計画の手始めとして、東京郊外に放たれたのだった。


 ブラッド一号を破壊すべく、榊エリ隊長という陸軍師団長が様々な作戦を仕掛けるが、尽く突破され、エリ自身が人質に取られた。エリは副隊長の高見に「自分ごと撃て」というが、人のいい高見には出来ない。だが自身の血が無くなってブラッド一号がストップし、助かった。


 これで処分されて終わると思われたが、日本政府が景気回復を見込み、ブラッド一号と大型ロボットをアリーナで戦わせる、という無謀なショウを企画。だが大型が壊れて客席との仕切りガラスを割って暴走し、数万人の客が殺され、アリーナは崩壊した。のちに、実は大型の製作者の桜庭凛博士が、ガラスをわざともろい材質にして破壊させたのだった。


 見に来ていたエリは、それを知って凛を射殺、瓦礫から這い出たブラッド一号を、自分の腕を切って血を見せておびき寄せ、負傷した客たちから引き離した。崖から突き出ている鉄骨の上に追い詰められてしまうが、高見がレーザー砲でブラッド一号の首を切断。飛んだ頭は柱に埋まり、後に観光地となった。


 しかし、世界を憎み人類の死滅を企む一団が頭を盗み、山中でブラッド一号を復活させた。首謀者は、痛みも感情もなく決して傷つかない、人殺しの絶対悪であるブラッド一号を「戦争の親玉」と呼び崇拝。しかし彼女は自分の血が減ったので彼らを殺して血を得、再び殺人を続けるべく里に下りていった。


 だがその頃、崖から落ちて瀕死になったエリが、軍事科学研究所で改造手術に近い最新鋭の治療を受け、その結果、全身はおろか脳までもロボット化した。


 そして軍に復帰した彼女は、再びブラッド一号破壊の任務を与えられたのである。

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