サブキャラでReスタートの俺

erst-vodka

第1話 その日、隕石が落ちた。

後、10分で日本に隕石が落ちる事になっている。

というか世界各地に落ちる。

勿論半年くらい前から言われていた事なんだが。


みんなそれぞれ最後の時を迎えようとしている。

勿論、金のある奴は隕石の堕ちない国へ向かっているらしいが

俺みたいな独り者で家族もいない、

金もそれほど持ってない者たちはどんな最後を

迎えようとしているのだろう。


俺は大好きなネトゲ、MMORPGをしながら最後を

迎えようとしている。・・・が、俺以外5人ほどしか

ログインしてねえや。同士よ。

しかし、残念ながらフレンドは居ない。まぁもともと

居なかったがなっ!

さて、後5分。


その時だった。

「早くダイブして!早く早く!早く!」

俺宛のチャットが飛び込んでくる。

だ、誰!?


「説明は後よ!死んじゃうじゃない。まぁ肉体は

 亡くなるかもだけど!魂さえ残っていればどうにかなる!

 ・・・かも」


かも。かよ!ってかダイブってなんだよ。

画面に入ればいいのか?どうやって!?


「兎に角入んなさい!後30秒よ!」


人間テンパったら何するかわかんないって奴だ。

俺はコントローラを握りしめたままモニターに飛び込んだ。


★★★★★★★★


気が付くとなんか小屋の様な所にいた。

あー。ログインしたばっかりはたしかこの森の中の小屋から

始まった気がする。あー、だめだ。少しというか相当気が動転していて

それくらいしか考えられねえや。


「もう!焦ったわよ!早く飛び込めばいいのに!」


うを!いきなり小さな光と共に妖精っぽい何かが目の前に。

「あのチャット入れてきたのもしかしてお前?」


「そうよ?」その妖精のような小さな生物はそう答えると

「私は貴方のシステムチェッカーだったの。まぁ不正を働いていないか

 チェックするプログラムね」


ほうほう。え?それって俺だけ監視してたの?


「違うわよ。各IDごとに入ってるのよ」


へぇ。どうりであのゲームって不正の対処が速かったのか。

少し落ち着いてきたので思いついたことを質問することにした。

まずはなんで俺を助けたのか・・・だ。


「そりゃ、あんた凄いんだもん。サービス開始からずっと

 一日も休まずにログインしてたし。どんだけ暇なのよ。だから

 システム的にも感動を覚えたのよ。あれね、廃人ってやつ?」


うるせえ。


「そして隕石が落ちて死んじゃうって時にも最後までログインしてるし。

 なんかいたたまれなくなっちゃって。で、ネット回線を勝手に使用して

 現実世界の神様にお願いしたのよ。この人を転移させていい?って」


神様にネット回線でお願いできる世の中だったんだな。

ゲームばっかりしてたから知らんかった。時代はそこまで進んでいたか。

所で俺はこっちに来ちゃったわけだけど、何すればいいの?


「何って。この世界はオープンワールドで超自由だったじゃない。

 何すればいいと言われても、自由にすればいいんじゃない?」


あー。確かにそうだった。最初は訳も分からず、とりあえず

スライム倒しとけってノリだったなぁ。懐かしや。

ん?俺左手片手用のコントローラー握ったままだ。


「それ超便利よ、流石ねアンタ。それ持って来るなんて。

 ゲームの時と操作はほぼ一緒なのでステータス画面とかも

 それで開けるわよ。あなたはマウスとそれ使ってたもんね」


わかんのかよ・・・そんな事も。

俺はコントローラーで自分のステータス画面を開いてみた。

そして驚いた。


レベル1じゃねえか!なめてんのか!10年だぞ!?毎日ログインして!

どれだけ苦労をしたと思ってるんだよ!ってか!このアイテム!なめてんのか!

おいおいおいおい!俺ってレベル193だったんだぜ!?

アイテムもレジェンダリーの相当集めてたし!

銅!?銅の短剣ってなんだよ!ってか薬草3個、毒消し1個って!

俺のエリクサー99個は!?ねぇ!どこいったんだよ!


「時間なかったのよ、貴方のキャラに魂を写す。だからほら

 名前も入ってないでしょ?」


という事は俺のキャラがどこかにいるって事なのか?

それを見つけたらソレに魂を転写できるとかないのか?

ってか俺のキャラは何処にいるんだよ。

あー、そうか。確か最後はリリスの塔の50階にある

ヒールポイントに居たな・・・。


「どうだろう。やってみないとわかんないわね。

 ってかあんた凄いわよね。一人でそこまで到達してさ。

 普通はパーティで行くとこだし。そう言えば貴方、あんまり

 というか、ほとんどパーティ組んでなかった人見知りちゃん

 だったわね」


大きなお世話だ。


「とりあえずそこに向かって魂の転写をやってみるってのを

 目標と言うか生きる糧にすればいいんじゃない?」


そうだな。どうみてもレベル1よりもガチキャラレベル193で

アイテム沢山の方がいいしな。・・・。というかレベル1で

リリスの塔50階って。


「無理ね、無理ゲーよ」


だ、だよな。なぁ。あ、そうだ。もし魔獣とかに負けて

死んじゃったらこの魂とキャラは消滅するんだろうか。


「うーん。どうだろう。ゲームではペナルティ払って復活

 だったけど。死んでみないとわかんないわ。死んでみる?1回」


わかんないのかよ!やだよ!やってみたくねえよ!

ととととととりあえず俺のキャラに会いに行くって事を目標に。

あれ?でもここでキャラ名入れたら別人格になっちゃうんじゃないの?


「あ、そうか。ちょっとまって。・・・・・。んー。

 IDは一緒ね。って事はサブキャラ扱いね。勿論、こっちが

 サブキャラね」


言わなくてもわかってるわ!しかたねえなぁ。じゃあ名前入れて

始めるとするか。俺のゲーム内人生を。


そして俺は名前を入力した。『キョーク』と。



「厨二ね、あいもかわらず。」


うるせえ。

ん?なんかアイテムボックスに入った・・・・。



しかし、この時、俺達は知るよしもなかった。

魔王が誕生したことを。























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