電車でスマホを触る前に!

零下冷

電車とスマホ

 電車に乗っている人を観察すると、八割……いや、下手すると九割以上がスマホを触っている。ゲームか?SNSか?小説投稿サイトかも?そんなことはどうでもいい。

 そんな人たちに、「それで良いのか」と僕は問いたい。

 世界はこんなにも美しいのに。

 世界はこんなにも面白いのに。

 電車の中から、流れていく外の景色を眺めたことはあるか?

 全く無い、なんて人はいないだろう。

 だが、真面目に……というと少し表現が固くなりすぎるかもしれないけれど。

 最近電車に乗っているときに、じっくりと景色を眺めたことがある人は少ないのではないだろうか。


 ここで、少年時代、あるいは少女時代を思い出してほしい。

 電車に乗っているとき、我々はスマホに釘付けだっただろうか。いやまあ、最近の子は、小さいうちからスマホを持っている場合もあるだろうが、今これを読んでくれているような諸君らは、きっとそんなことはなかったのではないだろうか。

 当時は。

 目に見える全てのものが輝いて見えて。そんな世界に思いを馳せて、ワクワクしていたのではないだろうか。

 まだ、これだけ世界は広くて、未知が広がっているんだ、と。

 あれは何だろう、あそこに行ってみたい。そんな思いを、持っていたのではないだろうか。


 これだけ言ってきたが、僕は電車に乗っているときにスマホを触るのは仕方ないことだとも思っている。何故なら、楽しいから。楽しめる面白い暇つぶしが、無限といっていいほどにそこには存在しているから。

 だが、僕はそこに、少しだけ。

 少しだけ、世界を、そして自然を楽しむ時間があっても良いのではないか、と思うわけである。

 人工的な楽しさもいいけれど、自然的な楽しさだって、少しはあっても良いのではないか、と伝えたいのだ。




 今日の雲はどんな形かな。

 いつもの木はちゃんと元気だな。

 今日は踏切に車が止められてないや。

 なんかあの店、雰囲気良いな。今度行ってみよう。

 今日も小学生は元気良いな。

 この道は一回歩いたことあるんだよね。懐かしいな。

 あのおじさん、物凄い顔で走ってる。この電車に乗りたいのかな?間に合うかな?


 ……ああ、この景色ってことは、そろそろ到着か。


 こういうのも、悪くはないのではないか。

 たまにはスマホから目を離してみても良いのではないか。

 僕は心から、そう思う。

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