魔法香る街へようこそ!

吉野茉莉

プロローグ「始まりのとき」

プロローグ「始まりのとき」

 ずーん、ずーんと、どこかで低い低い音が聞こえた。

 地響きのようにも感じた。

 寝ぼけまなこのままで、私は体を起こす。

 カーテンを開けて窓の外を見る。

 窓から見える景色はいつも通りだ。

 小さな星と大きな月。

 あとはすべて暗闇。

 部屋の中でも、変化はない。

 音は規則正しく、一定のリズムで響いている。

 気持ち悪くはなかった。

 むしろ心地良いとさえ思った。

 街全体がゆりかごのように優しく大きく揺れているようだった。

なんだか懐かしいような気がして、胸の奥がぼうっと温かくなっていくのを感じた。

 私はそれからまた深い眠りに落ちた。

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