第20話それぞれの未来の話③

~side和希~



「和希ぃ~?」


「な~に、母さん」


「今日はお弁当持っていくでしょ?」


「ありがとう母さん!じゃあ行ってきます」


「うん、行ってらっしゃい、気を付けてね?」


「うん」


 今日も高校へと向かう。学生の本分は勉強だしね。弟や妹達は先に向かったようだった。母さんの話では男がこうして一人でも出歩ける様になったのは父さんの影響が大きいと言っていた。すげぇな…と素直に思う。そんな事を思いながら学校へと向かう。



 いつも通りの授業は二時限目迄だった。完全に忘れてた…。今日は特別授業の日。だから、父さんの姿が見えなかった訳だ…。



 特別授業は体育館で行われる。壇上にはベットが3つと父さんの姿…。ぷふっ…父さん少し渋い顔してるな…。


 みんなが揃うと父さんが喋りだす…。


「…おはようございます!皆さん。天使豊和です。特別授業の前に少しだけ話をさせて下さい…。まだまだ男性の数は少ないとはいえ、だいぶ冷凍保存の精子も貯蓄、保管されております」


 ヤバい…。うけるな…父さん。


「この高校に在籍してるだけでも男性は五名!五名もいます!恋愛を楽しんでる人も居る…筈です!なにより歳も近いでしょうし!」


 無駄だよ父さん…。


「だから、この特別授業で妊娠しなくてもいいと正直思っているのですが…」


 父さんぶっちゃけ過ぎだろ!?弟の豊希も笑ってるし…。


「それでも妊娠………したい人居る?」


「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」


 殆どの生徒が手を挙げ返事をしてる。挙げてないのは父さんが言った通り彼氏が居る子達だけ。妹達も手を挙げてるのはうける。父さんと結婚すると言ってたしな…。


「……今日は特別に和希と豊希にも手伝ってもらいましょう…」


「「はっ?」」


俺と豊希の声が重なる…。


「2人共上がって来てくれ」


「何言ってんだ!」

「そうだよ!兄さんの言う通り、おれは抱けても2人だよ!?兄さんは父さんに似て化け物だからいいけど…」

「おい豊希!?」


「豊希はそれでいい…。2人な?和希分かってるな?」


「いや、分からないから!そ、そうだ!母さんがこんな事許すわけ…」


「甘い甘いな!和希!」


「えっ?」


「母さんは父さんの味方に決まってるだろ?」


「馬鹿な…」


「せめて…半分は頑張ってくれ…」


「父さん…無理だから、それ。父さんの血を色濃く受け継いだ俺でも100人以上は無理無理無理!」


「…充分だ」


 そして始まる特別授業…。これが行われると来月辺りにはみんな妊娠の為、学校を卒業して他所から女性がこの学校に入ってくる事になる…。


「父さん、後で覚えてろ」

「いや、兄さんはいいけど、僕は…」

「いいから…気合い入れろ!さあ、ヤるぞ!」

「「………」」


 この日、豊希が5人、俺が132人、父さんが250人を妊娠させた…。父さん…ぶっちゃけマジすげえ!尊敬するわ…。










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