第46話刻み込む為…

「コホン…と、豊和君…」


 食事を終え風呂上がりの事。みんなリビングに集まっていて卒業式の余韻に浸っていたんだ。素敵な告白だったと言ってくれるのは嬉しいんだけど…なんかむず痒い…。そんな中、冴子さんが少し頬を赤らめながら口を開いたんだ…。


「どうしたんです?」


「しょ…初夜は…だ、誰と過ごすのかしら…わ、私/////?」


「えっ?」


 冴子さんがそう言った瞬間、みんなの視線が僕へと突き刺さる…。また余計な事を言ってくれたもんだ…。初夜って…結婚もまだしてないのに…。


「…まだそういうのはちょっと…」


「「「「「「「「「「「「「…………はっ?

」」」」」」」」」」」」」


 その場の空気が一瞬にして凍りついた様に感じるなぁ~。決してヘタレてるわけじゃないんだからね(凛のマネ)?


「そ、それはない…それはないよ~…」

「豊和君…蛇の生殺しってやつだよ…それ」

「ゆ、柚希の言う通りよ!ア、アタシ達がどれだけ我慢してると…」

「最近…夜の方もなかったです…」

「兄さん…それは…」

「お兄ちゃん…それは駄目だよ…」

「弟君…ヘタレたわね…」

「先輩…」

「しょ…初夜が遠退いていく…」

「豊和君?」

「これ以上処女を拗らせてなるものか…」

「と、豊和君…わ、私は気にしないから…」

「そ…そんにゃあ~…」


「いや…冴子さん?そんなに落ち込まなくても…みんなも…そうだよ?り、理由!理由があるんだ!」


「…聞かせて貰おうか、その理由とやらを」

「…そうね…新菜の言う通りね」


 この場には告白した女性達が全員揃っている。新菜さんも遥もすぐに越して来るとは思わなかったよ…。女性の行動力の速い事…。


「もうすぐ高校生活が始まるでしょ?僕とそういう事したら妊娠しちゃうでしょ?避妊具があればそういう心配は要らないだろうけど…。まあ、とにかく高校に通うっていうのに中退やらさせる訳にもいかないし、今度中学生三年生になる梓希に優奈ちゃんに雫は論外でしょ?」


 僕がそう言うと女性陣は集まり何かヒソヒソ話している…。


「あのね…豊和君。本気で言ってる?」


「え~と、そりゃあ…本気で言ってるけど?」


「…高校に通っていて、妊娠しても中退とかにはならないよ?」


「えっ?」


「ちゃんと卒業扱いになるのよ?」


「そうなの!?」


「しかも…今の世の中、中学生で妊娠しても普通の事だよ?中学も高校もどちらも卒業した扱いにちゃんとなるんだし…」


「はっ!?で、でも、体が…」


「…大昔じゃあ無いんだからね?」


 し、知らなかった…。記憶にそんな事習った覚えもないんだっちゅ~の!記憶が戻ってもそこら辺の知識は皆無だな…。どうやらこの世界の女性は初潮来た時点で妊娠しても大丈夫なんだそうだ…。


「…はっ!?」

「どうしたの冴子?そんな何かに気付いたみたいな声を突然出して…」

「…豊和君の考えなら…私と先輩と新菜は…ヤれるのでは?」

「「はっ!?確かに!?」」


「そんなの駄目ぇぇぇ!」

「そうよ!」

「それは…ズルい…です」


 収拾がつかなくなってきた…。マズいよね…。仕方ない…。


「ちょっとみんな聞いて欲しいんだ…。ちゃんと僕はみんなの事好きなんだけど…初めての相手は…決めているんだ…」


「「「「「「「「「「「「「……えっ?

」」」」」」」」」」」」」


「…で、その子が高校を卒業してからと思っているんだ…。今度…一緒に高校に入学するし…苦手だった勉強もせっかく頑張ったんだし…」


「そ、それって…豊和君/////」

「まさか…」

「お姉ちゃん!?」


「…あの時…公園で柚希が僕を見つけてくれたからここに居るし、今があるしね…。と、とにかく後三年待って欲しいんだ!」


「…しょうがないよね」

「だね」

「お姉ちゃんが居たからお兄ちゃんここに居るし…」

「少し嫉妬しちゃうな…」

「アタシだって…負けてないのに」

「誰も負けてないです…凛」

「わ、分かってるわよ」

「その後は分かってるよね?」 

「そうそう!」

「ちゃんとみんな平等に愛してよね?」


「勿論」


 何とか分かって貰えたかな?それからはみんなで談笑したんだ…。





******


 そのしばらく後の事。僕もみんなも寝る為に自室へ戻ったんだけど…


「…豊和君…来ちゃった…」

「柚希…」


 僕の部屋に来たのはネグリジェ姿の柚希。部屋の鍵を掛け、僕の傍へと近付いて来る。その姿はとても色っぽく、肌の白さも相まってとても綺麗で見惚れてしまう…。


「…え~と…」


「と、どうかな?おかしくない」


「…綺麗過ぎて…」


「そ、そっかあ/////」


 ベットに腰掛ける僕の傍に柚希も腰掛けてようやく気が付いた…。ネグリジェの下には何も着けてない事…。そして…太ももに垂れている事に…。何がかは言わないよ?この世界の女性は発情したら…量が多いみたいだし…。


「……柚希……あの……んぐっ…」


 突然…柚希に唇を唇で塞がれる…。何度も唇が重なり閉じていた唇は強引に舌が割って入ってくる…。柚希!?


「んぐっ…んぐっ…ちゅくっ……ぷはっ…」


2人が繋がっていた唇からは銀色にも見える様な糸がひいている。


「柚希…」

「ごめんね…豊和君…私…もう…」

「柚希…でもっ…」

「ちゃんと考えたから…。豊和君が高校生になったらアレが解禁されるよね?豊和君のアレで人口授精する人が現れる…」

「それは…」

「だから…私が最初に豊和君の子を授かりたいの…」

「今…避妊具を作って貰うように頼んでるし…」

「…豊和君…そんなの着ける人はこの家に居ないと思うよ?」

「…かも知れないけど」

「私は本気だよ?」


僕は柚希を押し倒し…


「後悔しない?」

「するわけない」

「愛してる柚希」

「私も…」



─2人の影が夜のとばりに重なり溶け込んでいった…。






******

~side柚希~


 ようやく…大好きな人と結ばれた…。初めては痛いと聞いていたけど本当に痛かった…。世の中の女性は男性とそうなった場合道具で前もって失くすのが普通。私は憧れた

漫画や大昔の人みたいに大好きな人のモノで失くす事が出来た。あまりにも痛くて泣いてしまったけど豊和君は優しかった…。痛みが和らぐ迄ずっと待ってくれた…。その際、分かった事がある。何故痛みがあるのか?それは痛みと共に大好きな人を…生涯ただ1人の愛する人を体と心に刻み込む為だと私は思う。痛みがひいてくると…しゅごかった…。あんなにしゅごいなんて/////…。


 繋がったまま何度も私達は体を重ね合わせた。こんなに幸せを感じるなんて…。終わった後も余韻に浸りながら思う。一生愛していると…。



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