第39話大人の話
「天使豊和君…。少し話を聞かせて貰えるかしら?」
僕の目の前に居るのは2人の婦警さん。流石に男性絡みという事もあり対応が早い様だ。
「はい…」
「男性から通報があって、男性から殴られたと通報を受けて私達は来たんだけどね」
「僕が蒲島君という男性を殴りました…」
「そう…事実なのね…」
「どうします
「被害者は救急車で運ばれたみたいだし…殴ったのを彼は認めてるから…詳しくは署で聞くしかないわね…」
「ちょっと待って下さい!彼は腕を怪我しているんです!」
「そうよ!それにアレはコイツが悪いんじゃなくてアイツが!」
「そうなんです!彼が殴ったのには理由が…」
「3人共…僕が殴ったのは事実だし…その事に後悔はしてない。ホントはそれじゃあ駄目なんだけどね…。どんな理由があってもやっぱり殴ったのはいけない事なんだよ…」
3人共納得出来ない表情をしている。ごめんね?そんな顔をさせてしまって…。取り敢えず怪我をしているという事でまずは病院へ向かう事になった。男性の診察に慣れたベテランのお医者さんが対応してくれ診断結果は右手の骨折。指や手首辺りの骨が折れていた。全治3ヶ月位らしい…。処置して貰った後は警察署へと向かう。
******
─つもりだったのだけれど、被害者が訴えを取り下げ、
「殴られてはいない…転けた拍子に顔面を地面に打ち付けた…。通報は間違っただけ…」
そう、警察に話したらしい。何度も警察の人が本当の事を話していいんだよと聞いても同じ事を言って終いには米国へと帰ったらしい…。一体何があった!?─と、思いつつも僕は自宅に帰る事になったんだ…。
******
「へっ…ザマァみろ!これでアイツも…」
あの後、直ぐに警察と救急車の手配をさせた。救急車が着くと同時に警察の奴等も来やがったので一方的に何度も殴られたと言ってやった。詳しい話は治療が終わってかららしい。それにしても痛い思いはしたが、ひょんな事からアイツを蹴落とせる事になったな。面白い事になった。病院の個室を与えられほくそ笑んでいると、
「─失礼するわね…」
冴嶋のババアと糞総理のババア…、それに何人かの女達がぞろぞろと俺の病室へと入って来やがった。ドイツもコイツもあの国籍を変える時以来だな…。
「…何で勝手に入って来てるんだ?俺の側仕えは何をしている?」
「話をして通して貰ったわよ?なにせ米国の大統領とも現在進行形で電話が繋がってるしね」
「何ぃ?」
(大統領に繋がってるって何だよ!?はは~ん…そうか…なるほどな…。アイツが犯罪者になったから俺を持ち上げようとしてる?くっくっくっ…持ち上げられても俺は国籍を日本に戻すつもりはないぞ?)
「そこにモニターと翻訳機を設置させて貰うわね?」
「…ああ」
モニターが映り米国の大統領の姿が見てとれる。
『挨拶は省かせて貰います…。単刀直入に本題を伝えます…。我が国はあなたをEランクに認定する事が決まりました…』
「はっ?」
(何て言った?)
『…分かりませんでしたか?もう一度だけ言いましょう。我が国はあなたをEランクに認定する事が決まりました…』
「ど、どうして…俺は、俺の遺伝子は世界で見ても優秀な方だろ!」
『…今日のあなたの行いが原因なのですよ?』
「はあっ!?俺は殴られて…」
『あなたが1人の女性に、側仕えを使って下剤を混入させた事は調べがついているのですよ?』
「そ、それは…勝手に側仕えが…」
(何故だ…何故バレて…くそっ!あの側仕え《おんな》喋ったのか!?)
『あなた自身が彼を傷害罪で警察に訴えている様に、あなたもまた傷害罪の罪で訴えられるのですよ…』
「だから!だからそれは何かの間違い…」
『言い訳は無用…。我が国はあなたを犯罪者として扱う事に決めました。それと他の国に国籍を代えようとしても無駄ですよ?』
「そ、そんな馬鹿な話が…」
『あなたの財産は全て被害に遇われた女性に宛がわれますのでお忘れ無き様に…』
「財産迄!?」
『当然でしょう…。精神にもどれだけの傷を負ったのか皆目見当もつかないのですから!あえて言わせて貰えば私自身がその場に居たのならそれくらいの傷では済んでいないと思って下さい』
「そ、そんな事…を、大統領が口にするのか!」
『まあ、非公式ですからね。この場は』
「ど、どうやって生きていけと言うんだ!俺は男だぞ!こんな!こんな事が!」
『では、御自身の置かれてる立場を理解したみたいなので本題に入りましょうか…』
「本題?」
『まずは彼に殴られたと言う事を取り消しなさい…。そうですね…。自分で転けて顔面を打ち付けたとでも言えばいいでしょう』
「アイツか…アイツの方を…選ぶという事か?」
『それはあなたが知る必要はありません。とにかくそうすれば犯罪者として扱うのを取り消しDランクで迎える事を我が国は約束しますよ』
「ふざけてるのか!?」
『では犯罪者として檻の中を希望すると?』
そんなの、答えは一つしかないような物じゃないか…。くそっくそっくそっ!!!檻の中なんて惨めな思いはしたくないしする気もない…。なら…日本は?日本ならどうなんだ?幸いこの場にはくそ婆共が居やがる。さっきから黙って嫌がるけど…
「に、日本は…」
「檻の中に決まってるでしょう?それともランクについて聞きたいの?」
「くっ…」
「我が国ではあなたの面倒を見るつもりはありませんよ?したがってどうしても日本に残ろうと思っているのならランク等勿論ないし、檻の中という事は覚悟して下さい…」
コイツ等が来る前には全てもう…決まっていたのだろう…。
「……分かった…。取り下げるから…直ぐに米国に帰してくれ…」
『分かりました。早速手配して貰いましょう。家は用意しますのでしっかり励んで下さい…』
余計な事をしなければ…俺は…Bランクのままだったのか?分からない…。とにかく病室を訪れた奴等と共に警察署に行き、訴えを取り下げたうえでそのまま米国へと俺は帰る事にした…。
******
「ありがとうございました大統領」
『いえ、今回の事は私共にもメリットがありますし、先程言った通り、そんな事をした男が許せなかったのもありますから』
「では…彼の高校入学と同時に我が国はあなたの娘を歓迎、護る事を誓います…」
『ええ…娘を宜しくお願いします。それから─』
「─勿論です。彼から搾取した分もしっかりと取り引き出来る様にしますのでもう暫くお待ち下さい…」
『女性の為に怒れる男性の精子…。ふっふっふっ…本当に楽しみだわ…。娘より先に私が使って妊娠したら怒られるかしら?』
「大統領はまだお若いですからね…。私も若ければ孫娘より先に妊娠していたと思いますしね」
『そうね…。全てが優れている…。こんな男性がいるなんて…。そっちに行ける娘が本当に羨ましいわ』
「我が国は大統領の訪問もいつでも歓迎してますよ?」
『その手があったわね…。予定を何とかして一度向かう事にするわ』
「ええ…お待ちしております!それでは…」
『ええ……また…』
******
あとがき
取り敢えずこんな形になりました!前話も少し修正していますのでどうか宜しくお願いします。評価、応援が筆者の励みになりますのでどうかそちらの方も宜しくお願いします。
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