第30話休憩時間

 授業が終わると休憩時間に入る。休憩時間って何気に短すぎない?もう少しだけ長く欲しいよねぇ~と思っていると、


「おい…」


「な、何、蒲島君?」


 蒲島君に話し掛けられた子は確か…あの時、僕の鞄に入ってたブルマの持ち主の遥ちゃんって呼ばれてた子だよね…。そして蒲島君の後ろにはメイド服を着た女性が2人。護衛管の女性…か?


「名前は?」


春風はるかぜです…」


「下は何て言うんだ?」


「は、はるかです」


「じゃあ、遥!この後のヤッてやろうか?」


「えっ?」


クラスが静まりかえる…。


「聞こえなかったのか?ヤッてやろうか?って誘ってやってるんだけど?」


何でアイツは上から目線なんだ?


「豊和…大抵の男性はあんな感じで喋るそうよ。しかもアイツはランクが高い事に変なプライドを持ってるらしいし…」


─凛が僕が心で思った事に対し、心を読んだかの様に小声でそう教えてくれた。プライドねぇ…。


「わ、私は…お、お断りさせて頂きたいと思います!」


「…はっ?何て言った?俺の誘いを断ったのか?」


「すいませんすいません…」


 いやいやいや…そりゃあ断るよね…。ヤッてやろうかって頭大丈夫かな?クラス中成り行きを見守っているみたいだけど…。


「チッ…覚えてろよお前…」


「ひっ…」


 僕は席を立ち上が…ろうとして凛に止められた…。


(凛、何で止めるんだ?)

(アンタが今行ったらややこしくなるからよ!それにほらっ!)


「チッ…このクラスで俺に孕ませて貰いたい奴は?」


「「「「「「…………………」」」」」」


「はっ!?何だ、このクラスは…俺がヤッてやると言ったのに誰も居ないだと…」


 そんな言い方してどうするんだよ蒲島君は。


「ぷふっ…自信満々に言って振られてるし、誰もあんたとしたいと思うわけないし…」


「またお前かよ!なんなんだお前は?」


「なんだかんだと聞かれたら教えてやるのが世の情けとか言いたいけどぉ~、あ~しはただあんたが嫌いなだけしょっ」


 蒲島君の後ろに控えていたメイドさんの1人が彼に近付き何かを耳打ちしている…。


「─っ!?そうか…くくっ…なるほどな…。お前あの総理の孫娘だったのか…。だから俺を嫌ってるのか…」


「…ただ嫌いなだけ」


「能無し総理は俺という日本が生んだ宝を手放した張本人でもあるしな…。あの老いぼれが早く死ねばいいのにな…。そうすりゃあ俺も戻ってやってもいいんだぜ?勿論Sランクでな」


「!?─取り消すし…」


「なんだ?婆の悪口言われてキれたのか?いいぜ!かかって来いよ!俺が怪我したら婆はアメリカ迄何て謝りに行くだろうな?くくく…あははははっ…」


「ギリギリギリ…」


「それ位にしといたら2人共?」


 これ以上は見てられなかった…。確かに刀堂さんは最初、断られた彼を煽っていたんだけど、彼は言い過ぎてるからね…。人に死ねばいいなんて言っていいわけないのだから。


「「!?」」


「もう授業も始まるしね…」


「チッ…俺よりランク下の癖に指図するなよ?」


「ランクは関係ないんじゃないかな?」


「はっ?何言ってるんだお前は?ランクは男にとっての勲章だろーが!」


「別に僕はランクが低くても気にしないけど?」


「馬鹿かお前?ランクが低かったら生きてる意味ないだろ?分かるか?男の価値なんだよ!とにかく俺はランクが高いんだからお前は引っ込んでろよ!」


「男の価値はランクじゃないでしょ」


「お前喧嘩売ってるんだよな?おい!ランクの低いコイツを懲らしめてやれ!」


─メイドさんの1人が前に出て来た…。と、同時に凛とした透き通る声が教室内に響く…。


「動くなっ!…アタシの豊和に触れるなら射るわよ?」


 声の方に視線を向けるとメイドさんに向けて弓を構える凛…。メイドさんの動きは止まっている…。そういえば凛はいつも弓矢を持ち歩いているし、構えてる凛の姿…初めて見たけどカッコいいな…。


「へ~お前もいい女だな…。俺とヤるか?」


「残念…お断りよ。アタシの全てはコイツのだから…」


 え~と…こっちまで照れる事を言わないで欲しい…。


「ぐっ……もういい…。俺は他のクラスに行って来る。次の授業は出ないから誰かそう先公に言っとけ!行くぞお前等!」


 蒲島君がメイドさんと共に教室を出て行く…。


「…さっきはありがピッピと迷惑かけてごめんし…」


と、刀堂さん。


「気にしないで!それよりも気を付けないと駄目だよ?蒲島君…傲慢と言うか何と言うか…」

「…


 そう言った彼女の表情は苦虫を噛み潰したかの様にとても険しかった。そして僕はすっかり忘れてしまっていたのだが凛から、


「アンタ現時点でBランク以上なのよ?忘れるんじゃないわよ?」


と、言われた。

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